
以新伝心 少子化・インフレでも元気?玩具市場の今
2025.09.22 (月)




東京おもちゃショーが今年も東京ビッグサイトで8/28~8/31 の4 日間に渡り開催された。商戦期である年末に向けて注目の玩具が集結する業界最大のイベントである。出展社数は昨年から20 社増加の212 社と国内外から多くの企業が参加。大手映画会社の東宝もゴジラグッズを引っ提げて今回初出展となった。おもちゃショーはビジネスデーである前半2 日と一般向けの後半2 日から構成され、筆者はビジネスデーの8/29 に参加。今回はその参加レポートである。
キーワードは「推し活」と「二世代型消費」

※サンリオキャラクターのぬいぐるみ。タカラトミーアーツブースにて筆者撮影
玩具市場は、2023 年度に初めて1 兆円を超える規模まで拡大。続く2024 年度も前年度比+7.9%と好調。少子化が進む日本にあって、好調な玩具市場を支えるのは、「推し活」ブームと「二世代型消費」である。「推し活」とは、自分の「推し」(好きなアーティストやキャラクター等、その対象は多岐にわたる)のグッズやサービスなどに対する消費活動全般を指す。今回のイベントでも、ポケモンやサンリオをはじめキャラクター関連商材の存在感が際立った。インフレが進む局面では、本来嗜好品への消費は抑えられる傾向にある。ところが、近年では若年層を中心に「推し活」に対する支出額は拡大するなど、その定説は覆されつつある。幸福度やQOL(生活の質)を重視する、次世代の消費のカタチと言えよう。
そして、もう一つの大きなテーマが「二世代型消費」である。本来玩具商材のメインターゲットは子どもだが、少子化の向かい風の中で、その在り方にも変化が見られる。二大玩具メーカーであるタカラトミーとバンダイの注目商材である「ベイブレード」と「たまごっち」を例にその変化を確認したい。「ベイブレード」はタカラトミーの展開するコマ型の対戦玩具で、1999 年の第1 世代発売以来、世代交代を重ねながらグローバルで人気を拡大している。2023 年には第4 世代となる「ベイブレードX」を投入。看板商材として好調な販売が続く。

バンダイの「たまごっち」は、1996 年に発売され一大ブームを巻き起こした携帯型の育成玩具。7 月にはシリーズ最新作「たまごっちパラダイス」を発売。シリーズ累計の出荷数1 億個を突破するなど、ブーム再燃の兆しを見せている。両玩具に共通しているのは、第1 世代の発売から20 年以上経つ⾧寿玩具であること。当時遊んでいた子どもが親世代となり、子どもと一緒になって遊びに興じる好循環が生まれている。玩具メーカーでもこうした「キダルト」層(キッズ+アダルトの造語)を取り込むべく、大人にも刺さる玩具の展開を急ぐ。「キダルト」の旺盛な消費が支えられ、玩具市場は今後も堅調な推移が期待されよう。
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