亜州潮流 ベトナム経済の試金石、2026年「テト」
2026.03.18 (水)
当記事は毎月、アイザワ証券投資情報サイトに掲載しているアイザワ・グローバルマンスリーより抜粋しております。
ベトナム経済の試金石、2026年「テト」
旧暦(太陰太陽暦)の1月1日である2月17日(火)、ベトナムは一年で最も重要かつ盛大な祝祭である旧正月を迎えた。現地で「テト(Tết)」と呼ばれるこの祝祭は、正式には「テト・グエン・ダン(Tết Nguyên Đán)」という。月の満ち欠けを基準とする旧暦は、新暦(太陽暦)と年間で約11日の差異が生じる。そのズレを約3年に1度の閏月で調整するため、テトの時期は毎年1月21日~2月20日の間に訪れることになっている。
テトの起源は農耕文化に深く根ざしている。元々、農作物の収穫と新しい農業サイクルの開始を祝う行事で、旧暦の正月に家族や友人と集まって祝う習慣が広まった。この時期のベトナムの街は鮮やかな花々で埋め尽くされる。北部ではピンク色の桃の花(ホアダオ/Hoa đào)、南部では黄色の梅の花(ホアマイ/Hoa mai)を飾るのが伝統で、これらは繁栄と幸運の象徴である。また、家を大掃除し新年を迎えることも、古い年の不運を払い幸運を招くために欠かせない慣習となっている。
[写真:テトを迎える家庭の飾りつけ、筆者同僚撮影]
テトを迎える高揚感は、仕事納め前に行われる「Year End Party」から始まると言っても過言ではない。これは一年の業績を振り返り、従業員への労をねぎらう場として定着しており、日本の忘年会に近い位置付けであるが、より大規模かつ公式行事として行われるケースも多い。ホテルの宴会場やレストランを貸し切り、表彰式、抽選会、音楽パフォーマンスなどが行われることも珍しくない。筆者の会社でも、日本人駐在員が伝統衣装のアオザイを纏い、ベトナム語の歌を披露するなど、現地の文化に溶け込みながら共に祝宴を楽しんだ。
テト当日は、多くの個人商店やレストランが数日間店を閉めるのが一般的で、普段はバイクで溢れる道路も閑散とし街は静まり返る。人々は故郷へ帰り、家族で四角い伝統的なちまき(バインチュン/Bánh chưng)や、果物や野菜などを砂糖でコーティングしたお菓子(ムット/Mứt)を食べ、子供たちは赤い袋に入ったお年玉を心待ちにしている。ベトナムでは赤色は縁起が良いとされており、お年玉には5万ドン(約300円)札もしくは20万ドン(約1,200円)札が好まれるようだ。(1ドン=0.006円で計算)
経済的な側面から見ると、テトは1年の中でも最大の消費シーズンでもある。休暇の数週間前から、スーパーや市場では「テト・セール」が開催され、赤いボックスに入った贈答用の詰め合わせ(お菓子やお酒)などが販売される。テト前にビジネスパートナーや日頃お世話になっている人などにギフトを贈るのが慣例となっているからだ。一部の国内報道によると、テト前後を含む約8週間で年間の日用消費財売上総額の約2割を占めるとされている。
今年、10%という高い経済成⾧を目指すベトナムにとって、テト期間中の消費および旅行需要の勢いは、ベトナム経済の行方を占う一つの試金石となるだろう。
「亜州潮流」は、アジア新興国のトレンドを解説したコラムです。投資の推奨を目的としたものではありません。
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