亜州潮流 ホーチミン証券取引所の「熊退治」
2026.01.19 (月)
当記事は毎月、アイザワ証券投資情報サイトに掲載しているアイザワ・グローバルマンスリーより抜粋しております。
ホーチミン証券取引所の「熊退治」
世界は今、予測不可能な変動期を迎えていて、自然界からマクロ経済まで、「熊(ベア)の退治」が共通の課題になりつつある。日本では最近、熊による人身被害が急増し、政府は安全確保のため4 月~10 月だけで9,765 頭もの熊を駆除した。一方、ベトナムの自然界では乱獲のせいで野生の熊はほぼ絶滅しかけている。そして、ベトナム証券当局は一番大事な経済の舞台である証券市場からも、ついに熊のシンボルを消すことを決めた。
写真出所:ホーチミン証券取引所のホームページ
写真出所:アイザワ証券撮影
投資の世界では、ブル(雄牛)とベア(熊)は、市場の二つの側面を象徴するおなじみのシンボルである。雄牛は角を下から突き上げる動きから上昇市場(強気相場)を、熊は前足で上から叩きつける動きから下落市場(弱気相場)を表している。ホーチミン証券取引所(HOSE)の設立当初から、その入口にはこの雄牛と熊の対の像が置かれていて、ベトナム証券市場の発展を見守ってきた。設立から25 年の節目となる今回、ホーチミン証券取引所は、この⾧年のシンボルを新しくするという、ある種の宣言を行ったと思われる。新しいシンボルは、雄牛の姿だけになり、熊の姿は完全に消えた。
ホーチミン証券取引所は、2000 年7 月20 日から正式に取引が始まった。ベトナム初のオークション方式の証券市場で、最初の上場銘柄はリー冷蔵電気工業(REE)とSAMホールディングス(SAM)の2 銘柄のみだった。当時の時価総額も約9,800 億ドン(60 億円相当)と、当時のGDPの1%にも満たなかった。それが25 年経った今、ホーチミン証券取引所には約400 銘柄が上場していて、株式時価総額は約8,170 兆ドン(47 兆円相当)を超え、これは2024 年GDP の約7割に相当する規模まで成⾧を遂げている。
ホーチミン証券取引所は今回のシンボル変更について正式にコメントを出していないが、シンボルから熊を排除したのは、市場管理者当局による「市場は⾧期的な上昇トレンドに入る」への期待と意気込みを表明したものと市場関係者は受けとめている。この変更は、証券市場のサイクルを否定するわけではないが、ベトナム市場は⾧期的かつ持続的な成⾧局面にあることを強調していると考える。力強い雄牛のシンボルは、困難を乗り越えて、市場を新しい高値へと押し上げようとするベトナム経済全体の強い意志を象徴していると言える。
「亜州潮流」は、アジア新興国のトレンドを解説したコラムです。投資の推奨を目的としたものではありません。
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