こどもNISAとは?2027年開始予定の非課税制度を徹底解説
2026.10.02 (金)
公開日 :2025年1月19日
最終更新日:2026年10月2日
2026年度税制改正大綱で、NISAの「つみたて投資枠」について年齢要件を見直し、18歳未満でも利用できるようにする方針が示されました。これを受けた法改正により、2027年1月から0~17歳の未成年者もNISA口座を開設できるようになります。この未成年者向けのNISAが、一般的に「こどもNISA」と呼ばれる制度です。従来のジュニアNISAや成人以降に使用できるNISAとは異なる設計となっており、教育資金など子どもの将来資金を準備しやすい仕組みとなります。
本記事では、制度理解に必要なポイントを整理します。とくに「いつから始まるのか」「どんな商品が対象か」「途中で引き出せるのか」「ジュニアNISAや成人向けNISAと何が違うのか」といった疑問に、判断材料がそろう形でまとめました。
※参照:財務省「令和8年度税制の大綱の概要」(外部リンクに遷移します)
こどもNISAの全体像を押さえる
税制改正大綱および金融庁の資料では、次世代の資産形成を促進する観点から、つみたて投資枠の対象年齢を見直し、0~17歳を対象とする「こどもNISA」を設け、年間投資枠と非課税保有限度額を設定する方針が示されました。まずは制度の骨格を押さえたうえで、家庭の目的(教育費/将来資金)に照らして活用イメージを描きましょう。
対象年齢:0~17歳(本人名義)
こどもNISAの大前提は、0~17歳の子ども本人名義で、資産形成を行うことです。
本人名義での運用になる以上、実務は親権者が担う場面が多くなります。制度開始後に迷わないためにも、口座管理の担当、積立資金の準備方法(親や祖父母から子ども名義の口座へ贈与するなど)、家庭内の確認ルール(どの頻度で残高を見るか)を先に決めておくと、運用が安定します。なお、こどもNISAの買付けに使えるのは子ども本人に帰属する資金に限られます。親や祖父母の口座にある資金で直接買い付けることはできないため、子ども名義の銀行口座や証券口座にある資金から積み立てる必要があります。
投資枠:年間60万円 非課税保有限度額600万円
こどもNISAの投資枠は、年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円となっています。この範囲内であれば、譲渡益や分配金にかかる税負担を抑えながら運用できるため、教育費など将来の資金準備に活用しやすくなります。
枠が明確になることで、「いつまでに、どれくらい積み立てるか」を数字で設計しやすいのも特徴です。年間60万円は月あたり最大5万円相当(上限まで積み立てた場合)になるため、家計のキャッシュフローと照らし合わせ、「無理なく続く金額」から積立額を決めることが現実的です。
非課税期間:無期限
従来のジュニアNISAは、買付年ごとに非課税期間が設定され、原則として最長5年間が非課税でした。制度終了(2023年末で新規投資終了)に伴い、非課税期間が終了した商品を18歳になるまで非課税で保有できる「継続管理勘定」へ移す取り扱いも整備されていますが、継続管理勘定では新たな買付はできず、保有を続けるための枠という位置づけです。
一方、こどもNISAは、つみたて投資枠が18歳未満も利用可能になるという位置づけのため、非課税期間は無期限となります。期限を気にせず、時間を味方につけた長期の積立投資を続けやすくなるため、教育資金の準備だけでなく、子どもが成人した後も運用を継続する選択肢を持ちやすくなる点が制度の大きな特徴といえるでしょう。
引き出し制限:原則18歳まで。12歳以降は教育費・生活費に限り可能
こどもNISAでは、原則として18歳になるまで(正確には、その年の3月31日に18歳である年の1月以降、一般的には高校3年生の1月以降まで)、引き出しや他の口座への振替が制限されます。ただし、次の場合に限り、例外的に非課税のまま払い出すことができます。
- 12歳以降(小学6年生の1月以降)に、本人の教育費や生活費に充てる場合(本人の同意や資金の使途を確認する書類の提出が必要)
- 災害や病気などやむを得ない場合(NISA口座は廃止となり、すべての資産を払い出す必要があります)
上記以外の理由で払い出すと、それまでの利益や含み益に課税され、NISA口座も廃止されます。また、口座内で商品を売却することはいつでもできますが、売却代金は専用の口座で管理され、自由に引き出すことはできません。
ジュニアNISAは原則18歳まで引き出しができませんでしたが、こどもNISAでは12歳以降に教育費などへ充てる道が用意された点で、柔軟性が高まっています。進路変更や想定外の支出など、予測が難しいライフイベントにも対応しやすくなります。「いつ・何のために・どれくらい使う可能性があるか」を家庭で共有し、必要時期が近づいたら取り崩し方針を調整できるようにしておくと安心です。
※参考:日本証券業協会『0歳からNISA口座が開設できるようになります!』2026年9月時点(外部リンクに遷移します)
18歳以降:成人向けNISAへ自動的に移行
こどもNISAは、18歳を迎えた後の1月1日に、手続きなしで成人向けNISAへ自動的に移行します(誕生日当日に切り替わるわけではありません)。
移行後は成長投資枠も使えるようになり、そのまま運用を続けられます。「移行」を前提に考えると、子どもが成人するタイミングで慌てないためにも、家庭として「進学期は取り崩すのか」「成人後も運用を続けるのか」といった方針を段階的に整理しておくことが重要です。
投資対象:つみたて投資枠の対象商品
投資対象は、つみたて投資枠の対象商品で、長期の積立・分散に適した投資信託が中心です。こどもNISAには成長投資枠がないため、個別株は購入できません。投資方法も定時・定額の積立に限られます。
投資信託は商品数が多く、制度開始後に比較し始めると迷いがちです。家庭として「コスト(信託報酬など)」「リスクとリターン」「分散の考え方」「運用の分かりやすさ」など、重視する基準を先に決めておくと、商品選びがスムーズになります。
こどもNISAのメリット・デメリットを整理して判断材料をそろえる
こどもNISAは、非課税枠を活かしながら教育資金などの準備を進められる一方、投資である以上、価格変動リスクや管理面の注意点もあります。大切なのは、メリットだけで判断をせず、デメリットも含めて「家庭に合う運用の形」を作ることです。ここでは、判断材料として押さえておきたいポイントを整理します。
メリット
こどもNISAは、教育資金づくりを「非課税で効率化」しながら進めやすい点が大きなメリットです。運用益が非課税となり、税負担を抑えつつ資産形成を行えるため、同じ積立額でも手元に残るリターンを増やしやすくなります。加えて、年間投資枠60万円・非課税保有限度額600万円といった上限が示されているため、「毎年いくらまで積み立てるか」「家計のどの範囲で継続するか」を数字で設計しやすい点も制度の特徴です。
また、0~17歳のうちから積立投資を始められる方針であることは、運用期間を長く確保しやすいことを意味します。投資では、運用で増えた分がさらに運用されて増える「複利」の効果が働くため、長期で続けるほど成果が出やすい傾向があります。毎月一定額の積立は購入時期が分散され、取得単価が平準化されやすいため、相場の上げ下げの影響を受けにくくする効果も期待できます。教育費のように必要時期の見通しが立てやすい支出では、積立投資を家計の固定費に近い形で習慣化しやすく、目標時期に向けて「積立額→見込み資産→不足分」を整理しやすいでしょう。
さらに、こどもNISAの導入は家族全体の資産形成に「もう一つの選択肢」を増やします。親名義のNISAとは別枠で利用できるため、「教育資金は子ども口座」「老後資金は親口座」のように目的別で資金を分けて管理しやすくなり、運用状況や進捗も可視化しやすくなります。結果として、家族内で優先順位を整理しながら非課税枠の配分を考えられる点は、資金計画の面でも実務の面でもメリットになります。
加えて、子ども本人名義で資産形成を行うことは、金融リテラシーを高めるきっかけにもなり得ます。家庭内で「お金をどう準備するか」「増える・減るはなぜ起きるか」といった話題を自然に扱いやすくなるうえ、12歳以降の払出し(引き出し)では子の同意が必要となる点は、教育費などの資金を使う場面で「なぜ今取り崩すのか」「いくら必要なのか」を親子で確認し、合意して進める機会につながります。これは、お金の意思決定を“親が一方的に行う”のではなく、子どもが判断に参加する機会につながります。さらに、18歳以降は成人向けNISAへ移行する方向が示されているため、未成年期は積み立て、進学期は取り崩し、成人後は運用継続といった形で、ライフステージに沿ったお金の設計を考えやすくなる点も魅力です。
デメリット(注意点)
こどもNISAは非課税で運用できる一方、投資である以上、相場の下落によって評価額が減り、元本割れする可能性があります。教育資金は使う時期がある程度決まっているため、必要なタイミングで相場が不調だと取り崩しが不利になることも想定しておく必要があります。長期・積立・分散の基本に沿った商品選びを前提にしつつ、必要時期が近づいたら積立額やリスクの取り方を調整するなど、目的に合わせた設計が欠かせません。
また、こどもNISAは子ども本人名義の口座になるため、実務上は親権者が管理を担うことが多くなります。その結果、資金の出どころ(親・祖父母など)の整理、手続き、運用状況の確認といった家庭側の運用管理が必要です。管理を「なんとなく」で始めると、途中でルールが崩れたり、目的が曖昧になったりしやすいため、家庭内で「誰が管理するか」「どの頻度で見直すか」「資金提供をどう記録するか」などを決めておくことが重要になります。加えて、こどもNISAの買付けには子ども本人に帰属する資金しか使えないため、親や祖父母が資金を出す場合は、いったん子ども名義の口座へ贈与する形になります。贈与税(暦年課税)は受贈者(子ども)ごとに年110万円の基礎控除があり、判定は子どもが1年に受け取った贈与の合計です。年間投資枠60万円は管理しやすい一方で、こどもNISAへの拠出に加え、祝い金など別の資金援助が重なると合算で110万円を超える可能性もあるため、「誰が・いつ・いくら」を家族内で管理しておくと安心です。
さらに、払出し原則18歳(高校3年生の1月)まで制限されています。12歳以降に本人の教育費・生活費へ充てる場合などは例外的に可能ですが、条件を満たさない払出しは課税のうえ口座廃止となります。加えて、0~17歳の間は金融機関を変更できないため、途中で「別の会社に移したい」と思っても簡単には移せません。制度開始後に慌てないよう、どのタイミングで使う可能性があるのかを想定し、要件とすり合わせておくことが大切です。
最後に、教育費の時期に合わせた「出口戦略(取り崩し方針)」も不可欠です。教育費は必要時期が明確な分、運用で増えた資産を「いつ・どのように現金化するか」を決めないと、相場次第で不利な売却になり得ます。必要時期の数年前から段階的に取り崩す、状況に応じて現金比率を高めるなど複数のシナリオを持っておけば、価格変動があっても判断がぶれにくく、教育資金を計画的に確保しやすくなります。
制度開始までに準備する3つのこと
ここまで見てきたとおり、こどもNISAは「0~17歳のつみたて投資枠拡充」「年間60万円・非課税保有限度額600万円」「非課税期間は無期限」「払出しは12歳以降に要件を満たした上で子の同意が必要」「18歳以降は成人NISAへ移行」など、従来のジュニアNISAとは設計が大きく異なります。迷いを減らし、2027年1月制度開始後にスムーズに動くために、次の3点を先に整えておきましょう。
①教育資金の「必要時期」と「必要額」をざっくり整理する(出口を決める)
こどもNISAを教育資金に活かすなら、まず「総額いくら用意しておきたいか」に当たりを置くのが近道です。総額の目安が決まれば、年間投資枠60万円の中で積立ペースを設計しやすくなり、必要時期に向けた出口(取り崩し)も決めやすくなります。今回は目安として、大学4年間にかかる教育費を取り上げます。大学の教育費は進学先(国立/私立)と通学形態(自宅/下宿)で大きく変わります。
・国立(自宅):約520万円
・国立(下宿):約800万円
・私立文系(自宅):約700万円
・私立文系(下宿):約990万円
この総額に当たりを置いたうえで、①入学時にいくら用意したいか(入学金+初年度)→②在学中に毎年いくら必要か→③不足分はいつまでに埋めるか、の順に整理すると、積立額の判断や取り崩し方針まで決めやすくなります。教育費は比較的「いつ必要になるか」が読みやすい支出だからこそ、早めに出口ありきで設計しておくことがポイントです。
必要な総額のイメージが固まると、年間投資枠60万円の中で「毎月いくら積み立てるか」「いつから取り崩しを意識するか」を決めやすくなります。投資は相場変動があるため、必要時期が近づいた段階で取り崩し方針を調整できるようにしておきましょう。
②非課税の範囲・払出し条件・未成年名義の管理ルールを理解する(迷いの元を先に潰す)
こどもNISAは「非課税で運用できる」点が魅力ですが、効果を最大化するには“制度の前提”を先に押さえておくことが重要です。まず確認したいのは、非課税が適用される範囲と上限です。年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円といった枠組みが示されているため、家計では「上限までやるか」ではなく「無理なく続く金額はいくらか」を起点に積立額を決めると、運用が継続しやすくなります。
次に、教育費に使う可能性がある家庭ほど、払出し(引き出し)は“できる・できない”だけでなく「どう取り崩すか」をセットで考えるのがポイントです。たとえば12歳以降は子の同意が必要といった条件が付くため、必要時期が近づいてから慌てないよう、「いつ・何のために・どれくらい」を家庭内で共有しておくと判断がぶれません。
あわせて、口座は子ども本人名義でも実務は親権者等が担う場面が多いため、管理のルールを先に決めておくと運用が安定します。具体的には、誰が管理するか、見直しはどの頻度か、資金提供(親・祖父母など)をどう整理するか、という3点です。さらに18歳以降は成人向けNISAへ移行する方向なので、進学で取り崩すのか、運用を続けるのかも含めて「18歳以降の扱い」を早めにイメージしておくと、制度開始後の迷いを減らせます。
③金融機関を選ぶ基準を先に決めておく(口座・商品選びをスムーズにする)
こどもNISAは長期で付き合う制度になりやすいからこそ、制度開始後に「どこで口座を作るか」をゼロから比較すると迷いが増えがちです。そこでおすすめなのが、先に“選ぶ基準”を決めておくことです。たとえば、長期運用ではコストの影響も積み上がるため「手数料体系や商品コストを重視する」のか、続けやすさを優先して「アプリ・管理画面の見やすさや手続きの簡単さを重視する」のか、あるいは未成年口座ならではの不安に備えて「相談できる体制を重視する」のか。判断軸が1~2個決まるだけで、候補は一気に絞り込めます。
特にこどもNISAは、払出しに条件が付くことや、贈与の整理、18歳以降の成人NISAへの移行といった“制度運用の論点”が多いのが特徴です。そのため、商品ラインナップだけでなく「長期で相談しながら運用方針を整えられるか」も、実は重要な比較ポイントになります。迷ったときは、ネット完結の利便性に加えて、必要に応じて対面・電話などで確認できる窓口があるか、担当者に相談できるかといった観点も含めて検討すると安心です。
家計の状況や教育費の出口設計を見ながら進めたい方は、投資情報の提供や相談体制が整った証券会社を選ぶことで、制度開始後の判断がスムーズになります。情報提供と相談の両面で支援を受けられる選択肢も視野に入れておくと、長期運用の「続けやすさ」につながるでしょう。
まとめ・総括
こどもNISAは、2026年度税制改正を受けて2027年1月に始まる、0~17歳向けの非課税制度です。年間投資枠60万円・非課税保有限度額600万円、非課税期間は無期限で、利用できるのはつみたて投資枠のみです。払出しは原則18歳(高校3年生の1月)まで制限され、12歳以降の教育費・生活費などに限り例外的に可能となります。また、17歳までは金融機関を変更できず、18歳以降は成人向けNISAへ自動的に移行します。ジュニアNISAとは前提が異なるため、制度の骨格を理解したうえで家庭に合った設計を行うことが欠かせません。
制度を活かす鍵は、①教育資金の必要時期・総額から出口を決める、②非課税の範囲や払出し条件、未成年名義の管理ルールを理解する、③金融機関・商品の選び方の基準を作る、の3点です。制度開始後に慌てないよう、今のうちから証券会社でお子さまの口座開設を検討し、必要書類や手続きの流れを確認しておくとスムーズです。最新情報を確認しながら、ぜひ制度開始までに準備を整えておきましょう。
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