Aizawa Market Report 急成⾧する中国の人型ロボット産業
2026.02.24 (火)
急成⾧する中国の人型ロボット産業
2022年11月のChatGPT公開以来、世界中の大手テック企業は挙って生成AI向けに巨額な資金を投じ、言語処理や画像・動画生成、プログラム生成など様々な分野で高性能なAIモデルが多数開発された。これらのAIモデルはソフトウェアやコンテンツ産業に多大な影響を与えたほか、仮想(バーチャル)空間で蓄積したデータを物理(フィジカル)空間で応用するフェーズに入りつつあり、その代表格として「人型ロボット」に対する注目度が高まっている。人型ロボットは、動作判断を行うAI半導体、周りの空間・状況を認識する各種カメラ・センサー、繊細かつ柔軟な動きを可能にする駆動装置(アクチュエータ)、ワイヤレスに動くためにリチウムイオンバッテリーを搭載し、ロボタクシーやドローンなど特定分野で使われる機械と違って人間並みに汎用性の高い作業が可能だ。
英調査会社によると、2025年の世界の人型ロボット出荷台数は前年比5.8倍の1万3368台に急増し、その中で上位6社はすべて中国勢が占め、「オプティマス」で知られるテスラの出荷台数は150台(シェア1.1%)にとどまった(上図参照)。中国は米国に比べて半導体やAI関連の技術で見劣りするものの、フィジカルAIに必要不可欠なセンサーやアクチュエータ、バッテリーなど部品のサプライチェーンに強みがあり、コストメリットと巨大な市場、政策支援もあって数多くの新興企業が生まれた。
その中で、シェア首位の智元機械人(AGIBOT、未上場)と2位の宇樹科技(Unitree、未上場)はガイド、ダンス、芸など商業パフォーマンスに使われる製品が多く、後者の人型ロボットである「G1」は今年2月16日に放映された旧正月番組で高難易度な武術や宙返りを披露するなどにメディア報道が多い。また、3位の優必選科技(UBTECH、香港:9880)の人型ロボット「Walkerシリーズ」は、自動車や物流、政府系企業から数億元の受注を獲得し、今後商用・製造業分野で導入が拡大する可能性がある。一方、ロボットメーカー以外では、可動関節部の増加や強化で部品の需要拡大が見込まれトゥオプー・グループ(上海A:601689)と浙江双環伝動機械(深センA:002472)も興味深い。前者はテスラの「オプティマス」向けのアクチュエータの一種であるリニアモーターを独占供給、後者は関節部の剛性・トルク強化に必要なRV減速機を製造している。足元、中国のほとんどの人型ロボットメーカーは先行投資で赤字の段階にあるものの、フィジカルAIの応用拡大を背景に急成⾧する可能性を秘めており、関連企業の動向にますます目が離せない。
[写真]:Unitree の人型ロボット「G1」、人工知能と深度カメラ、3DLIDAR を搭載し、環境を認識しながら自律動作が可能。バッテリー駆動時間は約2 時間。セミコン・ジャパン2025 の会場にてアイザワ証券撮影。
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