Aizawa Market Report 2026年全人代「政府活動報告」の要旨
2026.03.12 (木)
2026年3月5日、中国北京で全国人民代表大会(以下全人代、中国の国会に相当)が開幕し、李強首相は会議の冒頭で「政府経済報告」を行った。その要旨を以下にまとめた。
2025年と第14次5カ年計画の主な実績
李強首相は、昨年を振り返り「逆風に直面しながらも粘り強さを発揮し、経済は全体的に安定を維持したうえで成⾧できた」と発言した。
2025年の主な実績
- 2025年のGDP成⾧率:前年比+5.0%(目標は+5%前後)
- 都市部の新規雇用:1267万人(目標は1200万人以上)
- 都市部の調査失業率:5.2%(目標は5.5%前後)
- 消費者物価指数:前年比+0.2%(国家統計局データ、目標は+2%前後)
- 国民一人当たりの可処分所得:GDP成⾧率と同水準(目標はGDP成⾧率と同水準)
- 穀物の生産量:1.43兆斤(目標は1.4兆斤≒0.7兆kg以上)
- GDP単位当たりのエネルギー消費:5.1%を削減(目標は3%削減)
- ハイエンド製造業と設備製造業の付加価値:それぞれ9.4%と9.2%増加
- 通年の小売売上高は50兆元(約1140兆円)を突破
- 技術契約の成約額:10.8%増加
- GDP全体に占めるデジタル経済付加価値の比率:約10.5%
- 輸出総額(人民元建て)は前年比6.1増加、新規外資企業の数は19.1%増加
- 都市化比率:67.9%に上昇(前年は67%)
- PM2.5の平均濃度が低下、空気、水の質が改善
第14次5カ年計画(2021~2025年)期間の主な実績
- 名目国内総生産(GDP)は140兆元(約3190兆円)を突破、年平均実質GDP成⾧率+5.4%
- 社会全体の研究開発費年平均で+10%、製造業の付加価値規模は16年連続で世界首位
- 国民可処分所得は年平均で+5.4%、都市部新規雇用数は5年累計で6000万人超
- その他平均教育年数、平均寿命の増加、環境問題の改善等
2026年と第15次5カ年計画(2026年~2030年)の主な目標・注力分野
2026年は第15次5カ年計画の最初の年として、より積極的なマクロ政策を通じて内需の持続的な拡大と供給の最適化、地域に応じた新質生産力(高度な技術、高効率、高品質などの特徴を備える先進的な生産力)の発展、国内市場環境・制度の整備、重点領域のリスク防止、雇用拡大などに注力していくとした。
2026年の主な目標
- GDP成⾧率を前年比+4.5~+5%前後にする(+5%から引き下げ)
- 都市部の調査失業率を5.5%前後に抑える
- 都市部の新規雇用者数を1200万人以上にする
- 消費者物価指数の上昇率を2%前後に保つ
- 国民所得の伸びを経済成⾧率と同程度の水準にする
- 国際収支の基本的な均衡を保つ
- 穀物生産能力を1.4兆斤(0.7兆kg)前後にする
- GDP単位当たりのエネルギー消費を3.8%削減する(3%から引き上げ)
- より積極的な財政政策を実施する
・財政赤字の対GDP比を4.0%前後(赤字規模5.89兆元、前年比+0.23兆元)とする
・一般公共予算の支出額を30兆元規模(前年比+1.27兆元)とする
・地方政府特別債券の発行規模を4.4兆元(前年並み)とする
・超⾧期国債を1.3兆元(前年比並み)発行する
・特別国債を3000億元(前年比-2000億元)発行する
- 適度に緩和的な金融政策を実施する
・経済の安定成⾧と物価の合理的な回復を貨幣政策の評価項目とする
・預金準備率の引き下げや利下げなどの政策ツールを通じて流動性を確保する
・社会融資規模と貨幣供給量が経済成⾧と価格水準の目標と合致するようにする
・技術革新とグリーン経済、消費拡大、民営・中小零細企業向けの金融支援を強化する
・社会全体の融資コストが低位で安定するよう促す
・人民元の為替レートを合理的かつ均衡な水準で安定するようする
2026年の注力分野
- 国民所得増加や消費刺激策、投資拡大を通じてより一層の内需拡大を目指す。
- 大規模な設備更新やスマート化、新興産業の育成を通じて新質生産力を発展させる
- 高度科学技術の研究開発や人材育成を通じて独自のイノベーション力を強化する
- 制度改革や規制緩和を通じて市場の透明性を高め、質の高い発展につなげる
- 対外開放をより一層拡大させ、貿易や外資との協力を通じてウィン・ウィンの関係を築く
- 食料の安定供給と農村振興、貧困撲滅に注力する
- 新型都市化を通じて地域間の均衡発展を促す
- 雇用の安定化と社会福祉の向上を通じて国民生活を改善する
- 環境保護を強化し、低炭素かつグリーンな成⾧モデルへのシフトを早める
- 重点領域におけるリスクを防止・解消し、システミック・リスクを防ぐ
第15次5カ年計画(2026年~2030年)の主な目標
- 2035年に一人当たりGDPが2020年に比べて倍増できるよう、合理的にGDP成⾧率目標を定める
- 社会全体の研究開発支出の伸びを年平均7%以上とする
- 雇用や収入、教育、健康など国民関心度の高い課題に的を絞って対処する
- GDP単位当たりのエネルギー消費を17%削減する
- 食料とエネルギーの安定供給に注力する
今回の全人代に対する見方
今回の全人代では、国際貿易・米相互関税を巡る不透明感や国内での住宅市況低迷を踏まえて、2026年のGDP成⾧率目標が前年の+5.0%から+4.5%~+5.0%に引き下げられたほか、「より積極的な財政政策」と「適度に緩和的な金融政策」の政策方針が踏襲され、中国当局による景気支援が続くことを示唆した。
注力分野の中で、消費財の買い替え促進や企業の設備更新に向けた補助金、研究開発と独自のイノベーション強化、対外開放の拡大といった項目が目立っており、産業構造転換や持続成⾧の点からEコマースや家電、産業用設備(発電用設備、工作機械、製造装置)、ハイエンド製造、半導体、EV、機械などに関連する企業が政策の恩恵を受ける見通し。
全人代の政策方針に沿う銘柄として、東方電気(香港:1072)やナウラ・テクノロジー・グループ(深センA:002371)、CATL(香港:3750)、BYD(香港:1211)、美的集団(深センA:000333)、ウェイチャイパワー(香港:2338)、三一重工(上海A:600031)などが挙げられる。
ご留意事項
免責事項
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、お客さまご自身による判断でお決めください。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更することがあります。このレポートの権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。


