Aizawa Market Report 万科企業のデフォルト危機と今後の見通し
2026.01.27 (火)
万科企業のデフォルト危機と今後の見通し
昨年11月26日、中国の大手不動産デベロッパーである万科企業(香港:2202)は12月15日に満期を迎える20億元(約455億円)の3年もの社債「22万科MTN004」を巡り、債権者に対して社債の償還延期を提案した。万科企業は中国政府が2020年夏に導入した不動産融資規制「3つのレッドライン」(①前受金を除く総資産に対する負債比率70%以下、②自己資本に対する純負債比率100%以下、③短期の有利子負債を上回る現金保有)を2021年1~3月にすべてクリアし、これまで財務面で優良とされていただけに、今回の社債の償還延期提案はマーケットに大きなインパクトをもたらした。
万科企業が資金繰り難に陥った主な背景として、⾧期にわたる不動産の販売低迷がある。2021年以降、中国恒大集団(2025年8月25日に上場廃止)の債務不履行(デフォルト)をきっかけに、不動産デベロッパーの信用不安が強まり、これに伴い万科企業の不動産月間契約販売金額は2021年頃の400億元以上から2025年後半の100億元以下へと大きく落ち込んだ(上図参照)。
契約販売金額の急減によって同社の資金回収が遅れ、2021年1~3月に短期の有利子負債(1年以内に返済・償還期限が到来する借入金と社債)の2.6倍もの現金同等物(1887億元)を保有していたが、2025年7~9月には0.4倍(604億元)まで低下し、社債の償還延期をしなければ手元現金で対処できない事態に陥った。現状、中国全体の住宅不動産市況は販売面積の減少と価格の下落が続いているため、販売面において万科企業の資金回収が急速に進むとは考えにくく、社債の償還延期の成否が同社のデフォルト回避にとって極めて重要と言える。
1月26 日現在、万科企業は前述の社債「22 万科MTN004」に加え、別の社債2本(37億元と11億元)も昨年12月から今年1月にかけて償還・満期前償還請求権行使を迎え、債権者と一部の社債の償還延期に合意した。これを受けて、万科企業の株価(上図参照)はやや持ち直したものの、短期の有利子負債の償還圧力が依然大きいことを考慮すると、同社がデフォルトに陥るリスクは依然拭えず、今後も資金繰り面で予断を許さない状況が続くだろう。同社の危機は住宅市場そのものに甚大な影響を与えかねないだけに、筆頭株主である政府系の深セン地下鉄集団(持ち株比率27.9%)の追加支援や保有資産の資産売却、社債の償還延期、債務の減免などに加え、住宅市場安定化に向けた政府の思い切った対応が待たれる。
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