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Aizawa Market Report 「決議79号」が示唆するベトナム国有企業改革の行方

2026.01.15 (木)

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Aizawa Market Report 「決議79号」が示唆するベトナム国有企業改革の行方

「決議79号」が示唆するベトナム国有企業改革の行方

2026年1月6日、ベトナム共産党中央政治局は「国有経済の発展に関する決議79号(79-NQ/TW)」を正式に公布した。2025年中には民間企業の役割強化を掲げる複数の決議が相次いで公表されたが、「決議79号」はそれと矛盾するものではなく、国有企業は「戦略的な分野において先導的な役割を果たし、マクロ経済の安定を担う」ことを明確化した点に意義がある。また、国有企業を単なる政府の保護対象ではなく、民間企業と同じ市場ルールの下で競争させ、経営の効率化を目指す方針を示した。

「決議79号」では、2030年を見据えた具体的かつ定量的な目標が数多く盛り込まれている。国有企業については、東南アジア上位500社に50社入り、世界上位500社にも1〜3社入りの目標を掲げるとともに、全ての国有企業にデジタル基盤に立脚した現代的ガバナンスの導入、OECD原則の全面適用を求めている。国有金融機関に関しては、アジア上位100行に少なくとも3行がランクインするように育成し、ベトナム外商銀行(VCB)、ベトナム投資開発銀行(BID)、ベトナム産業貿易商業銀行(CTG)などを市場規模・技術・コーポレートガバナンスの面で金融システムの中核に据える方針が明示された。とりわけ重要なのは、政府持ち分の売却金を国庫に納めずに、企業の資本金として充当できる仕組みを明確にした点であり、これは国有企業、とりわけ国有銀行が長年直面してきた資本制約を根本から緩和することにつながる。

「決議79号」の国有企業への影響は主に三つの経路を通じて現れる。第一に、政府持分の売却金を国庫に納めずに、自己資本増強に充当できる制度である(後の割当増資等)。これは、自己資本比率(CAR)が相対的に低いベトナム投資開発銀行やベトナム産業貿易商業銀にとって、長年の資本不足問題を解消する
「決定的な政策変更」となる。第二に、「戦略部門」と「商業部門」の切り分けにより、非戦略分野における政府持分の引き下げが進み、2026〜2027年にかけて大規模な国有資本再編が進む可能性がある。第三に、土地資源の有効活用を促すことで、国有企業の資産価値(NAV)の大幅な向上が期待される。

「決議79号」の公表後、株式市場は即座に反応し、ベトナムVN指数は一時1900ポイントを突破して史上最高値を更新した。資金は国有企業の多いセクター、特にエネルギーと国有商業銀行の関連銘柄に集中し、外国人投資家の買い越しも確認された。株式市場は、本決議を「国有企業の成長段階を引き上げる制度的な転換点」と評価したといえる。国有企業は長年にわたり経済安全保障および国家安全保障を支える存在として位置付けられ、資本や土地といった経営資源において一定の優遇を受けてきた。しかし、その役割ゆえに厳格な規制や管理体制の下に置かれ、結果として資源配分の柔軟性や資本効率が大きく制約されてきた側面も否定できない。

今回の「決議79号」は、こうした制度的な制約を段階的に緩和し、国有企業に対してより実質的な裁量権を与えることを通じて、生産性の構造的な改善を目指す試みであると評価できよう。もっとも、短期的には国有銀行における資本増強効果や、その他の国有企業における資産再評価が先行して株価に織り込まれる可能性が高い。国有企業の株価上昇はあくまで初期段階の評価修正に過ぎず、真の意味での価値創造が実現するかどうかは、今後の経営改革の実行力、ガバナンスの質、そして資本が成長投資へと適切に振り向けられるかにかかっている。「決議79号」の効果を長期的に検証するには、なお相応の時間が必要であり、投資家は一連の動きを冷静に見極める必要があると考える。

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