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50歳からの資産形成、iDeCoとNISAどっちをやるべき?

2024.11.06 (水)

アイザワ証券

アイザワ投資大学 編集チーム

50歳からの資産形成、iDeCoとNISAどっちをやるべき?

セカンドライフを見据える50歳から資産形成の検討を始める方の中には、iDeCoとNISAのどちらを始めたら良いのか知りたい方も多いでしょう。一見似ているものの、それぞれに特徴や利点があり、個人の状況によって適している制度が異なります。そのため、自分に合った選択ができるよう、双方の制度についてしっかり理解することが重要です。

今回は、iDeCoとNISAを比較しながら、それぞれどのような人に適しているかを紹介します。

【前提知識】そもそもiDeCoとNISAとは

iDeCoとNISAはどちらも非課税で投資が行える制度ですが、目的をはじめ下記のような様々な違いがあります。

ちなみにiDeCo・つみたてNISAの共通点として、ドルコスト平均法で資産運用できる点があります。

ドルコスト平均法とは、毎月定期的に一定の金額で長期的に投資商品を購入する手法です。毎月決まったタイミングで一定の金額を購入し続ける手法のため、商品が値下がりしたときは購入口数が多くなり、値上がりしたときは購入口数が少なくなります。これにより長期的な投資をした際、平均購入単価が下がり一括投資するよりも損失リスクを軽減できる可能性があります。iDeCoもつみたてNISAもあらかじめ毎月の一定金額を設定しておけば自動的に買い付けをしてくれるため、投資のタイミングに悩むことなく手軽に資産運用できます。

ここでは、iDeCoとNISA、それぞれの特徴について解説します。

iDeCoとは

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せして拠出が可能な私的年金制度です。運用の目的は老後資金に限られ、原則として資産は60歳以降でないと引き出せません。

iDeCoは運用益が非課税となるのに加え、掛金全額が所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されることがメリットです。受取時は課税の対象ですが、年金受取の場合は公的年金等控除、一括受取の場合は退職所得控除となる税制優遇があります。

加入できるのは原則20歳以上の国民年金被保険者で、最長65歳まで掛金の拠出が可能です。掛金の上限額は企業年金の加入状況や職業によって異なり、年間14万4,000円~81万6,000円となっています。具体的な上限額としては下記の通りです。

・自営業者、個人事業主など:年間81万6,000円
・企業年金のない会社員:年間27万6,000円
・企業年金のある会社員:年間14万4,000円
・公務員:年間14万4,000円

これらの上限額を最大限活用することで、税制メリットを受けながら老後資金に備えた資産形成が可能となります。
投資できる商品は長期・積立・分散に向く投資信託や定期預金で、リスクを抑えながら長期的な投資が可能です。

NISAとは

NISA(少額投資非課税制度)は、通常20.315%の税金がかかる投資で得られた利益が非課税になる制度です。

例えば、20万円の売却益が出た場合、課税口座(特定口座や一般口座)では約4万円を納税しなければなりません。しかし、NISA口座での投資なら非課税で、得られた利益をそのまま受け取れます。配当や分配金も同様に課税対象外となります。
なお、NISAはiDeCoのように引き出し期間の制限はありません。住宅の購入や教育資金、将来に向けた資産形成など、目的を問わず運用できます。

NISA口座は18歳以上で日本に住所があれば1人1口座作れます。非課税枠は生涯1,800万円です。最短5年で非課税枠を使い切る場合、年間360万円(成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円)になります。
成長投資枠では国内外の株式や投資信託など幅広い商品に、つみたて投資枠では長期・積立・分散に適した一定の投資信託等に投資でき、iDeCoよりも幅広い投資を行えます。

【iDecoとNISA】どっちから始めるのが良い?

これから資産形成を始めるのに、iDeCoとNISAのどちらから始めるべきでしょうか。50代の方がこれから始める場合にどちらがおすすめなのか、それぞれの特徴から考えていきましょう。

iDeCoがおすすめな人

大きな節税効果を求める方は、iDeCoを選ぶのがおすすめです。iDeCoは運用益や配当などが非課税になるだけでなく、掛金全額が所得控除となるため、所得税や住民税の負担を軽減できます。60歳以降に給付金を受け取る際にも、一括受取では退職所得控除、年金受取では公的年金等控除が適用されるため、メリットが大きいでしょう。
ただし、iDeCoは原則60歳までは引き出しできない上、受け取り方次第で課税される点に注意が必要です。また、所得が少ない場合には所得税・住民税軽減のメリットを活かしきれないというデメリットがあります。

NISAがおすすめな人

NISAは、iDeCoに比べて自由度の高い投資ができます。必要なときにお金を受け取れることを重視するならNISAがおすすめです。いつでも運用資産を売却し活用できるのは、iDeCoにはない大きな強みといえるでしょう。

また、NISAのつみたて投資枠は、iDeCoと同様に長期・積立・分散投資に向いた商品が対象であるため、銘柄選びにおいても失敗しにくく、投資初心者の方も始めやすいでしょう。
NISAでは生涯1,800万円、年間360万円と大きな投資ができます。50歳は間もなく仕事を引退するタイミングですが、より多くの運用効果を得ようと上限額まで高リスク商品に投資すると、大切な老後資金を失うおそれもあるため注意が必要です。

50歳になると、ある程度資金に余裕を持っている方も多いでしょう。NISAを始める場合には、若い世代と比べてより堅実な資産運用を考える必要があります。逆に、すでに投資経験がある方は、税制優遇を活用しながら柔軟な運用を行えるでしょう。

資金に余裕があるなら併用するのがおすすめ

iDeCoとNISAはどちらも税制優遇を受けながら資産を形成できます。それぞれにメリットがあるため、資金に余裕がある場合は、NISAのつみたて投資枠とiDeCoを併用するのも選択肢のひとつです。

併用のメリットは、拠出できる金額の上限が大きくなることです。iDeCoは企業年金の加入状況によっては上限額が小さいため、2つを併用することでより効率的な運用が可能です。企業年金加入者など、iDeCoでは少額の拠出しかできない方も併用することで運用資産を増やせます。
iDeCoには、NISAにない所得控除のメリットがあるため、NISAで自由に引き出せる資金を用意しつつ、iDeCoで老後資金を着実に増やすといった準備の仕方も良いでしょう。特に50歳を過ぎると投資可能期間が短いため、iDeCoのみで資産を増やすのは難しくなります。NISAのつみたて投資枠もあわせて活用すると、効率良く運用できるでしょう。

まとめ

iDeCoもNISAも非課税のメリットを活かして資産を運用できますが、引き出し可能なタイミングや投資できる金額などに違いがあります。所得控除による所得税・住民税の節税効果を期待する場合はiDeCo、好きなときに引き出せる点を重視したいならNISAがおすすめです。また、両者の併用もできるため、資金に余裕がある方は両方のメリットを活かしながら運用するのも良いでしょう。

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