コリアインサイト グローバルAIの半導体サプライチェーンで見直しが期待される韓国企業
2026.03.26 (木)
投資家の間では半導体セクターはすでに馴染み深い投資セクターの1つともいえます。日本の東京エレクトロン、アドバンテスト、レーザーテックといった企業は、グローバルなサプライチェーンにおいて代替不可能な地位を築いており、近年の日本株市場の上昇をけん引してきました。
しかし、グローバルな投資家の視点から見れば、日本の「半導体製造装置・素材」企業だけに投資することは、サプライチェーンの「半分」に留まっている戦略かもしれません。日本の精密な装置と素材が投入され、最終的に圧倒的な付加価値を創出する場所、すなわち韓国のメモリ半導体メーカーであるサムスン電子(韓国:005930)やSKハイニックス(韓国:000660)との相関関係に注目する必要があります。
全世界のAIデータの約7割が通過する「韓国のゲート」
2025年第4四半期基準の全世界DRAM市場シェアを見ると、サムスン電子(36.0%)とSKハイニックス(32.1%)の合計シェアは68.1%でした。これは世界中で生成される膨大なデータの7割近くが、必ず韓国企業のメモリを経由しなければ処理できないことを意味します。
特にAI演算に不可欠なHBM市場において韓国の支配力は圧倒的です。SKハイニックスは米エヌビディアに高速・大容量メモリといわれる「HBM3E(第5世代広帯域メモリ)」を供給し、市場の核心を担っております。またサムスン電子も次世代「HBM4(第6世代広帯域メモリ)」の量産を通じてサプライチェーンの主要な軸となっています。
米マイクロン・テクノロジーに比べて割安:市場の地位と乖離した株価
グローバル市場において、韓国半導体企業の競合社である米マイクロン・テクノロジーとバリュエーションを比較すると、韓国企業は理解しがたいほどの割安圏内にあります。
市場コンセンサス(アナリスト予想平均)によると、3月17日の終値基準における2026年のPERはマイクロンが約13倍であるのに対し、サムスン電子は約7倍、SKハイニックスはわずか5.1倍水準にとどまっています(※)。単に数字が低いだけではなく、韓国企業の市場シェアとHBMにおける技術的リーダーシップがマイクロン・テクノロジーを遥かに上回っている点を考慮すれば、このバリュエーション格差は修正されるべきであると思われます。
※FnGuideおよび企業予想より算出
グローバル投資銀行では、市場シェア約70%を掌握する支配力と圧倒的な収益創出能力を鑑みれば、米国企業(Peer Group)に対して20〜30%以上のディスカウントを受けている現在の状況は、強力な投資機会であると分析しています。
「企業価値向上(バリューアップ)」と日本の経験
韓国政府は現在、日本市場の成功モデルをベンチマークとした「企業バリューアッププログラム」を強く推進しています。サムスン電子とSKハイニックスは、今後3年間で発生が見込まれる莫大なキャッシュフローを背景に、自己株式の消却や特別配当など、株主還元策を大幅に強化すると予想されます。これは、配当収益と資産価値を重視する日本の個人投資家にとって極めて強力な安全マージンとなるでしょう。
AI産業の成長を確信している投資家にとって、「装置・素材(日本)+製造(韓国)」へと繋がるグローバルな利益の連鎖を完成させることは、最も戦略的な選択です。日本の装置技術が実質的な実績へと変換される最終目的地であり、米国の競合他社よりも優位な地位にありながら、株価は遥かに割安な韓国の半導体企業は、AIポートフォリオを完成させる最後のピースとなるのではないでしょうか。
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