
コリアインサイト AI需要がもたらす韓国の半導体産業の成長
2025.08.28 (木)




近年、人工知能(AI)の進化は世界の産業構造を大きく変化させつつあります。その中でも最も恩恵を受けている分野の一つが「半導体」です。特にAI向けの高性能メモリや演算用チップは、生成AIや自動運転、クラウドサービスの拡大とともに爆発的に需要が伸びています。韓国はこの流れの中心にあり、サムスン電子(韓国:005930)とSKハイニックス(韓国:000660)の2社がグローバル市場で存在感を高めています。
韓国半導体輸出の急成長
韓国の半導体業界の成長は数値に大きく表れています。韓国貿易協会のデータによると韓国の半導体輸出は2024年に約1,419億ドルへと拡大し、前年比でおよそ44%増加しました。さらに2025年に入ってもその勢いは続き、2025年上半期(1月~6月)の輸出額は前年同期比で約11.4%増加しています。この急成長の背景には、AIデータセンター向けに必須となるHBM(高帯域幅メモリ)やDDR5といった最新世代の高付加価値メモリの需要があります。

データ出典元:韓国貿易協会(https://global.kita.net/)
この成長は単なる景気循環による「在庫調整の回復」ではなく、AIという新しい産業基盤の拡大によってもたらされている特徴があります。このことから持続性の高い成長トレンドと考えられます。
サムスン電子の戦略と課題
サムスン電子は世界最大のメモリメーカーであり、特にDRAMやNAND型フラッシュメモリで圧倒的なシェアを持っています。最近では米テスラとの間でAI向け半導体の大規模製造契約(約165億ドル規模)を結び、AI分野でのプレゼンスを強化しています。
しかしサムスンには課題もあります。2025年上期の業績では半導体部門の利益が大幅に減少し、装置投資や研究開発への負担が重くのしかかっています。また、米国による関税や中国市場への規制強化も経営環境を不安定にする要因です。
それでもサムスンは「メモリからシステム半導体へ」の戦略転換を進めており、ロジック半導体、特にAI向けチップの受注拡大に力を入れています。これが中長期の収益回復のカギとなるでしょう。
SKハイニックスの急浮上
一方、SKハイニックスはHBM市場において先行優位を築いています。米NVIDIAなど主要なAIチップメーカーにHBMを供給しており、「生成AIの爆発的人気=SKハイニックスの出荷増」という図式が成り立つほどです。
特にHBM3に続くHBM3Eは技術的な完成度の高さが評価され、AIサーバー用のGPUに欠かせない部品となっています。その結果、2024年から2025年にかけて業績が急回復し、韓国株式市場全体を押し上げる原動力となりました。
規模ではサムスンに及ばないものの、SKハイニックスは「AI特化型メモリのリーダー」というポジションを確立した点で投資家から高く評価されています。
新たなステージへ
AI需要の拡大は一時的なブームではなく、世界経済の基盤を変える大きな潮流です。その中で韓国のサムスン電子とSKハイニックスは、世界の半導体市場をリードする存在として改めて注目されています。
もちろん米国の関税強化や中国市場規制により、輸出の不透明感が残っていますが、両社の技術力と供給能力を考えれば、中長期的に「AI関連半導体への投資」は魅力的なテーマです。個人投資家としては、短期的な株価変動に振り回されず、長期的な成長ストーリーを見据えて投資判断を行うことが重要になります。
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