以新伝心 日本のエネルギーはどこに向かうのか?
2024.07.15 (月)
日本のエネルギーはどこに向かうのか?
日本の中長期的なエネルギー政策をまとめた「エネルギー基本計画」(以下、エネ基)の見直し議論が今年度に入り本格化する。エネ基は3年に1度改定が行われるが、2021年10月に閣議決定された第6次エネ基では、下表の通り、2030年や2050年のカーボンニュートラル目標達成に向けて、太陽光や風力などの再生エネルギーの主力電源化を目指す意欲的な目標が示されていた。その後の2023年に「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が閣議決定されるなど、エネルギー戦略の策定に向けた動きが加速している。
日本の中長期的なエネルギー政策をまとめた「エネルギー基本計画」(以下、エネ基)の見直し議論が今年度に入り本格化する。エネ基は3年に1度改定が行われるが、2021年10月に閣議決定された第6次エネ基では、下表の通り、2030年や2050年のカーボンニュートラル目標達成に向けて、太陽光や風力などの再生エネルギーの主力電源化を目指す意欲的な目標が示されていた。その後の2023年に「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が閣議決定されるなど、エネルギー戦略の策定に向けた動きが加速している。
今回の改定におけるポイントは大きく2点。1点目は原発の再稼働である。カーボンニュートラルに向けて非化石エネルギー比率の向上が求められる中、再エネの拡大とともに議論が加速している。現在設置変更許可を受けた原発は5基あるが、そのうち、出力の大きな新潟柏崎の再稼働に向け政府も動き始めている。政治的にセンシティブな問題であるものの、原子力が今後日本のエネルギー戦略上どのような役割を果たすのか、その指針が示されることに期待したい。2点目は、第6次に引き続き、再エネ拡大に向けた取り組みがどの程度示されるかである。2022年度の再エネ比率は太陽光9.2%、風力0.9%、地熱0.3と、2030年度目標に対する風力・地熱の進捗は芳しくなく、更なる刺激策が求められる状況と言えよう。また太陽光にも課題はある。というのも、そもそも山林が国土の大半を占める日本において、太陽光発電所が設置可能な土地面積には限界があり、一段の普及拡大には、工場や住宅の屋根置き促進のため、政策による後押しが不可欠である。
電力を取り巻く環境は年々複雑化している。環境対応や安全保障上の問題に加え、AI需要の拡大に伴う電力消費量の増加も問題視され始めている。化石燃料を輸入に依存する日本にとってエネルギー問題は非常に重要な論点であり、近く示される第7次エネ基がそのアンサーになり得るのか、その内容に注目したい。
※「以新伝心」は、新しい出来事に着目し、心に伝えることをコンセプトにしたコラムです。投資の推奨を目的としたものではありません。
ご留意事項
免責事項
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、お客様ご自身による判断でお決めください。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更することがあります。このレポートの権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。