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亜州潮流 中国の不動産テコ入れ策とその効果

2024.01.29 (月)

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亜州潮流 中国の不動産テコ入れ策とその効果

中国の不動産テコ入れ策とその効果

今年7月末、中国の共産党中央政治局会議で「保障性住宅の建設」と「城中村の再開発」、「平時・災害時両用公共インフラの建設」といった「3大プロジェクト」を積極的に推進する方針が初めて示された。その中の「城中村」とは、大都市に散在する老朽化住宅地(貧困バラック地区)や、急速な都市拡大に伴って市街地に取り囲まれた農村集落などのことを指す。「城中村の再開発」は、様々な補償プランを提供した上で土地の収用と住民の立ち退きをスタートさせるが、各地政府傘下の投融資プラットフォームが再開発からその後の管理までを請け負うことが多い。

例えば上海市の場合、1995年~2021年の間に「城中村」の土地を収用して解体・立ち退きを終えた家屋は142万戸にも上った(写真参照)。「城中村」の再開発は住民の居住環境改善や土地の集約化利用など様々な方面において不動産市場の活性化に大きく貢献したといえる。

ただ、今回の「3大プロジェクト」は収益性や効率性を考慮して、人口流入がなお続く300万~500万人以上の大都市に限定される。調査機関の予測によると、「城中村の再開発」における潜在的な投資額は今後5~7年で年平均約5,000億元(約10兆円)と、新築住宅市場への押上げ効果はトータルで5兆元(100兆円)以上になると試算される。また、それを合わせた「3大プロジェクト」の潜在的投資額は年平均で約1兆元前後(約20兆円)になると推定され、それは2023年の中国の不動産投資額(約12兆元)の8%程度に過ぎず、20152018年の再開発ブームには程遠い。

つまり、「3大プロジェクト」は中国不動産市況全体の方向性を覆すことが考えづらいものの、2024年から本格的に実施されることで大都市の不動産市況の安定化に寄与することは十分に考えられる。ただ、「城中村の再開発」は、住民の立ち退きを始め投入コストが多く、収益サイクルも長いうえ、再開発事業者の資金繰りなどの課題を勘案すると、その進捗は予想より遅れ、規模も縮まる可能性があり得る。

これらの課題に対処すべく、中国金融当局は担保付き補完貸し出し(PSL)や特別融資などの政策融資を通じて段階的に「3大プロジェクト」に資金を注入し、最終的に住宅購入のための資金が家計に行き渡ると見られる。果たして「城中村」再開発を含めた「3大プロジェクト」は低迷する中国不動産を活性化する起爆剤になるか、その動向からますます目を離せない。

※「亜州潮流」はアジア新興国のトレンドを解説したコラムです。投資の推奨を目的としたものではありません。

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