
亜州潮流 カフェ・ミルクティチェーンのIPO相次ぐ
2025.06.23 (月)




カフェ・ミルクティチェーンのIPO相次ぐ
2025年は中国・東南アジア発祥のカフェやミルクティチェーンの新規上場IPOが相次いでいる。内需株とあってトランプ関税の混乱の中でも株価は堅調だ。
3月3日に中国の蜜雪冰城(MIXUE、香港:2097、※当社取扱外)が香港市場に上場した。IPO価格の202.50香港ドルに対し、初日は買い気配で終わり、翌日の初値は262.0香港ドルだった。同社はミルクティチェーンとして中国本土で最大で、中国土に45,000超の店舗を有している2024年9月末時点)。また海外では2018年にベトナムの首都ハノイに進出し、インドネシア、マレーシア、タイ等で5,000超の店舗を展開している。日本にも数店舗が出店し海外展開を加速している。同社のメニューはミルクティに加えソフトクリームなどもあり、中国では28元(0.281.1ドル)と相対的に価格が安いのが特徴だ。

MIXUEの店舗、上海駐在員事務所撮影
インドネシアではForeCoffee(インドネシアFORE、※当社取扱外)が4月14日にジャカタ市場に上場した。IPO価格は188ルピアで、初値は252ルピアと34%上昇した。政府の財政引き締めで4月8日にジャカルタ総合指数が9%超下落する中で、順調なスタートを切った。同社は2018年に創業し、インドネシア全土で216の店舗を運営するほか、シンガポールにも出店している(2024年9月末時点)。インドネシアは世界有数のコーヒー豆の生産地で、同社のコーヒーはインドネシア産を使用。世界最大のイスラム教国でもあるので100%ハラル対応だ。
中国のミルクティチェーンである覇王茶姫(CHAGEE、米国:CHA、※当社取扱外)は、4月17日にNASDAQにADRを上場した。公募価格は28米ドルで、初値は33.75米ドルだった。中国内外の高級ショッピングモールを中心に6,700超の店舗を有している。同社の店舗や商品は中国らしさと高級路線を全面的に打ち出し、低価格路線のMIXUEと差別化を図る。「東洋のスターバックス」を目指す方針で、ロゴもスターバックスを想起させる。

CHAGEEの店舗 、 上海駐在員 事務所撮影
ベトナムでは最大手のカフェチェーンであるHILANDSCOFFEEが上場を計画中だ。DealStreetAsia紙は同社がIPOに向けて投資銀行と接触していることを報じている。同社はフィリピンの大手ファストフードチェーンであるジョリビー・フード(フィリピン:JFC)が大株主で、2019年にも上場計画があったが、コロナ禍の影響で見送られた。ベトナム全土で850店舗を有し、現地で知名度・人気ともにダントツのカフェだ。
IPOが相次ぐのは、各社とも成長のための資金調達を急いでいるという背景がある。特にミルクティ業界は参入障壁が低く、メニューで差別化を図ってもヒットすれば真似をされてしまう。各社はIPOを通じて海外市場を含めた出店拡大と知名度アップを図り、規模とブランド力において優位に立とうとする狙いがあるだろう。カフェ・ミルクティチェーンの競争が激しさを増す中、各社の動向にますます目が離せない。
※「亜州潮流」は、アジア新興国のトレンドを解説したコラムです。投資の推奨を目的としたものではありません。
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