
亜州潮流 台湾旅行で感じたインフレ
2025.05.19 (月)




台湾旅行で感じたインフレ
今年3月下旬に旅行で約7年振りに台湾を訪れた。初めて訪れた時は新型コロナのパンデミック前であり、今回は新型コロナ禍以降の訪問となった。現地の添乗員によると、2025年3月時点で観光客数はコロナ禍前とほぼ同水準まで戻ってきていると話していた。コロナ禍により多くの宿泊施設が経営破綻となり閉鎖に追い込まれていたが、近年の旅行需要の回復を受けて、宿泊施設の新設が増加している。筆者が観光した台北市内にも建設中のホテルをいくつも発見した(右上写真参照)。特に2月~3月にかけて日本では卒業シーズンに重なることから、予約数が大幅に増え、宿泊施設が足りない状態となっているようだ。台湾といえば、日本との時差は約1時間であり、約3~4時間ほどのフライトで行けるため、初めての海外旅行先として今も人気を集めている。人気の理由は、それだけではない。日本と比較して台湾の物価は安いという点も魅力の一つである。昨今では世界中でインフレ問題が出ている中で、今回は台湾の物価が7年前からどの程度変わったのかを見ていきたいと思う。

写真:台北市内の建設中の高級ホテル ※筆者撮影
まずは、為替から見ていきたい。7年前に訪れた際は1台湾ドル=約3.6円ほどであり、1万円あれば2,700元程度だったが、今年3月では1台湾ドル=約4.5円とほぼ1円の円安となっていた。わずか1円と思うかもしれないが、過去10年間の為替推移(右中グラフ参照)でみると、2015年5月下旬から6月初旬に1台湾ドル=約4円を記録してから、2021年9月下旬までずっと3円台だった。

[出所:ファクトセットより、アイザワ証券作成]
食事やサービスなどの価格についても見ていきたい。台湾の名物といえば、小籠包やタピオカドリンクなどが挙げられる。日本にも進出している有名店「鼎泰豊」の小籠包は 7年前では 10個 210元だったが、今年 3月時点では 280元と 70元の値上げとなっていた。また現地では安いタピオカドリンクも 50元から 70元に値上げされており、日本ほどではないが物価の上昇を実感した。その他観光スポットなども値上げされている一方、台北市内の交通機関である MRT(地下鉄)の初乗り運賃は 20元のままであった。台湾も物価上昇の影響はあるものの、世 界全体と比べてまだ安いと感じられた 。


写真:「鼎泰豊」の小籠包(上)とタピオカドリンク(下)
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