
【今月のたけぞう氏ピックアップテーマ】 エネルギー政策から考える核融合関連銘柄
2025.09.25 (木)




石破茂首相が9月7日に自民党総裁の辞任を表明しました。自民党の総裁選の詳細日程が9月17日に総裁選挙管理委員会で決定し、総裁選は9月22日に告示され10月4日に投開票が行われます。国会議員と党員・党友が投票する「フルスペック方式」も決定しました。
小泉進次郎農林水産相、高市早苗前経済安全保障相、林芳正官房長官、小林鷹之元経済安保相、茂木敏充前幹事長が党総裁選に立候補を表明されています。
各紙の世論調査では、高市、小泉氏両氏が他の候補を引き離す形で推移しています。両氏の政策で一致するのが核融合に関する政策です。核融合発電とは、太陽の原理を真似て、水素のような軽い原子核同士を融合させることで莫大なエネルギーを取り出し、発電する技術です。
そこで、今回は核融合関連を紹介します。
三菱重工業(7011)
三菱重工業(7011)は、核融合反応を利用した発電を行う核融合炉を実現することを目的に、フランスで進められている世界7極(日本、欧州連合、ロシア、米国、中国、韓国、インド)による核融合実験炉イーターの建設プロジェクトに参画し、イーターの核心部分を担う機器の製作を担当しています。
NTT(9432)
NTT(9432)は、核融合に関する研究などを手がける国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構と2020年に連携協力協定を締結したと発表しました。両社は、今年3月に核融合発電に必要なセ氏1億度超のプラズマ状態について、AIを使って予測する手法を開発したと発表しました。
従来の手法では、複雑な物理計算を用いたシミュレーションが主流で、リアルタイムでの予測は困難でした。両者は、AIによる予測データを用いて、この課題を克服する模様です。
なお、2022年立ち上げの核融合戦略有識者会議の座長にはNTTの篠原弘道相談役が務められています。
浜松ホトニクス(6965)
浜松ホトニクス(6965)は、レーザ核融合の実現の鍵となる高出力レーザ技術の開発、イオンや電子、中性子に代表される量子ビームの応用開発および新光学材料の開発と研究を行っています。レーザー核融合とはクリーンなエネルギーを人工的に作り出そうとするのもので、同社は、2007年から研究開始しています。
今年9月に核融合燃料への照射に使うレーザー装置で、従来の2倍以上の光エネルギー密度で出力できた事を公表しました。9月14日からフランスで開かれる「レーザ核融合科学と応用に関する国際会議」で今回の成果を発表しました。
助川電気工業(7711)【日々公表銘柄 9/24~】
助川電気工業(7711)は、核融合発電の冷却材に使われるナトリウムやリチウムの試験設備を展開しています。日本も参加する磁気閉じ込め核融合のイーターには、超伝導導体用熱処理炉を供給しています。核融合発電スタートアップのヘリカルフュージョンは、核融合反応からエネルギーを取り出す重要部品「液体金属ブランケット」の実証試験を行うため、独自設計の試験装置「GALOP」を岐阜県土岐市に搬入しましたが、同社が協力しています。
INPEX(1605)
INPEX(1605)は、2023年に京都大学発の京都フュージョニアリングに出資しました。
これは初めてのフュージョンエネルギー分野への参入です。また、京都フュージョニアリングは今年4月、核融合発電の実証に向けて取り組む新会社を設立したと発表しました。また、今年9月第三者割当増資と借り入れで計67億5000万円を調達し、核融合炉から熱を取り出す熱サイクルシステムの開発・実証を進めていく考えを示しました。京都フュージョニアリングの出資企業として日揮ホールディングス(1963)ジャフコグループ(8595)があります。
今年8月に三菱商事(8058)や三井物産(8031)関西電力(9503)商船三井(9104)フジクラ(5803)日揮ホールディングス(1963)など12社が核融合スタートアップの米コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)に出資したとの報道もあります。
なお、日本政府は、今年6月に、核融合発電に関する国家戦略を改定し、「世界に先駆けた2030年代の実証をめざす」と明記し実現に向けた工程表の作成を掲げています。
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