
【今月のたけぞう氏ピックアップテーマ】太陽光発電設置義務化で注目のリサイクル・リユース関連銘柄
2025.07.28 (月)




東京都は2025年4月から新築の戸建て住宅など設置基準に適合した建物に対し、太陽光パネルの設置を義務づける条例を施行しました。電気料金が高止まりするなか、太陽光による電力発電は、設置に際し一時的な負担はあるもののトータル収支においては経済的メリットが見込まれており、普及がさらに進むと考えられています。また生成AIの活用により電力消費量が急増しているデータセンターでも太陽光による再生エネルギーの活用が広がっています。
しかし、課題もあります。6月に政府が公表した【骨太の方針】に、サーキュラーエコノミー(循環経済)について、再生材利用拡大と製品の効率的利用を促進する動静脈連携のための制度や太陽光パネルの廃棄・リサイクル制度の検討などが盛り込まれました。
太陽光パネルは法定耐用年数の17年経過後も使用可能で、寿命(耐用年数)は一般的に20年から30年程度とされています。太陽光発電の普及は、2012年の固定価格買取制度(FIT制度)開始が後押ししました。しかし、現在は国内の太陽光パネルは撤去後に大半が埋め立て処分されているのが現実のため、FIT制度開始から約20年が経過する事によって、太陽光パネルのリサイクル及びリユースに注目が集まっています。
そこで今回は太陽光パネルに関わりのある注目企業を紹介します。
AGC(5201)
2025年4月に太陽光パネルカバーガラスの板ガラス向けリサイクルにおいて、国内初となるハイブリッド方式での実用化を開始した事を公表しました。今回の取組みでは、加熱ナイフによる分離方式に、株式会社浜田の高圧水噴射技術を組み合わせることで、板ガラス向けの水平リサイクル(使用済み製品を原料として再び同じ種類の製品を製造する方法)を実現しました。今後、より多くの太陽光パネルカバーガラスの板ガラス向けリサイクルを推進し、2030年までに年間数千トンのリサイクル体制を構築すると説明しています。
また2024年10月に同社の100%子会社であるAGC Glass Europeは、太陽光発電パネルのリサイクル技術を開発・保有するROSI社(フランス)と太陽光発電パネルカバーガラスの資源循環の促進に向けた戦略的パートナーシップを締結しています。
エヌ・ピー・シー(6255)
不要になった太陽光パネルをリサイクルするための中間処理サービスを提供しています。同社が開発したホットナイフ分離法®によって、ガラスを割ることなく、その他の部材と完全に分離する事が可能となりました。ガラスは金属が混じるとリサイクル困難となってしまいます。そのため同社の手法によって金属が混じるリスクが減り、効率の良いリサイクルが可能となりました。
2025年4月に同社と京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、使用済み太陽光パネルのリユース(再使用)・リサイクル事業に関する協業検討を開始しました。KCCSが使用済みの廃太陽光パネルを提供し、エヌ・ピー・シーが廃太陽光パネルをアルミフレームや金属などに再資源化、その後販売するスキームが想定されます。
TREホールディングス(9247)
2022年から太陽光パネルのリサイクル事業に乗り出しています。廃太陽光パネルの処理は、端子やケーブル等を解体し「油圧式フレーム外し機」にてアルミ枠を取り外します。フレームを取り外したパネルは「手動式カバーガラス剥離装置」に投入してカバーガラスを剥離し、回収します。
また、リサイクルするだけでなく、検品して状態の良いものはリユースも行う予定です。同社は、2025年に東芝グループや関西電力と太陽光パネルのリサイクル及びリユースで実証し、協定書を締結しています。
ミダックホールディングス(6564)
2024年5月、連結子会社であるミダックこなんが太陽光パネルのアルミフレームとジャンクションボックスを分離する「太陽光パネル アルミフレーム・J-Box分離装置」を導入し、太陽光パネルのリサイクルに向けた解体・分別事業に参入すると発表しました。
また、テラレムグループと廃太陽光パネルのリユース・リサイクルを含む資源循環の共同事業化に関する基本合意書の締結も発表しています。
トクヤマ(4043)
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同開発で、廃太陽光パネルから、太陽光パネルを構成する部材を高品質に分解する「低温熱分解リサイクル技術」を確立し、処理、抽出するリサイクルの事業化を目指しています。
また、2024年7月に北海道における使用済太陽光パネルのリサイクル事業について北海道内リサイクル大手の鈴木商店と連携スキーム構築検討の基本合意をし、2025年6月にTREホールディングスと関西電力と使用済太陽光パネルのリユース・リサイクル事業モデルの検討を開始したことを公表しました。
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