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コリアインサイト 乱高下する自動車セクター、2026年下半期注目はグローバル展開力を有する部品メーカー

2026.09.01 (火)

有進投資証券

成 承桓

コリアインサイト 乱高下する自動車セクター、2026年下半期注目はグローバル展開力を有する部品メーカー

2026年上半期の振り返り:ロボティクスへの熱狂と金融波乱・業績鈍化の交錯

今年の上半期において韓国の自動車セクターは、記録的な上昇と調整を同時に経験しました。米ボストン・ダイナミクスによる新型「ニュー・アトラス(Atlas)」の量産計画発表や新規上場(IPO)への期待感を背景に、完成車および系列部品メーカーの株価は急伸しました。現代自動車(韓国:005380)の株価は6月1日に一時78万ウォン台へ達して過去最高値を更新しました。また、今年の1月と比較して現代オートエバーは一時+187%、現代モービス(韓国:012330)は+108%の株価上昇を記録するなど、米ボストン・ダイナミクスと密接な事業シナジーを有する企業群が相場を力強く牽引しました。

しかしながら、6月下旬以降、グローバル市場におけるAI投資のピークアウト懸念や投資対効果(ROI)への疑問が浮上しました。これに伴い、韓国総合株価指数(KOSPI)は622日に終値9,144.55ptという高点をつけたものの、約5週間後の730日には終値が5,593.56ptまで下がりました。約40%急落するという信用買い・レバレッジ解消ショックが発生し、急騰していたフィジカルAI関連銘柄も大幅な調整を余儀なくされたのです。

さらに、部品サプライヤーの火災による生産遅延や、中東情勢緊迫化に伴う原油高(WTI原油は一時、1バレル=113ドルを突破)、アルミニウム等の原材料高騰が重なり、現代自動車の第2四半期営業利益が前年同期比20.8%減少するなど、業績の足踏みが株価変動に拍車をかける形となりました。

2026年下半期は好悪材料が交錯する中、「EV需要の底打ち」

下半期の自動車業界においては、収益改善への期待とコスト面の課題が入り混じる事業環境が続くと予想されます。

ポジティブな要因としては上半期の生産を圧迫した火災事故や中東情勢による物流の混乱が徐々に緩和の方向へ進んでいることが挙げられます。主力の量産モデルのフルモデルチェンジやハイブリッド車(HEV)の増産が控えているほか、米国でのインフレ抑制法(IRA)補助金縮小の打撃から徐々に脱却し、欧州を中心に世界の電気自動車(EV)需要が上半期を底として再び成長軌道へ復帰しつつあります。

一方で、中東の停戦交渉難航に伴う高油価・原材料高が依然としてマージンを圧迫しており、為替レートも6月上旬に1ドル=1,560ウォン台の高点をつけたものの、8月以降には1,415ウォン水準へとウォン高が進行したため、完成車メーカーの為替メリットが縮小しています。さらに、商品性と価格競争力を大きく向上させた中国製EVのグローバル輸出拡大(2026年上半期の中国自動車輸出は約510万台、前年同期比65.3%増)および韓国国内市場への参入本格化が、完成車メーカー間の販売インセンティブ競争が激化しつつあります。

2026年下半期は部品メーカー優位の局面へ

上半期は完成車および特定グループの中核系列企業に「集中」していたのに対し、下半期の投資戦略においては「業績の透明性が高く、グローバルな展開力を備えた電気装備(電装)・ロボット部品メーカーへの拡散」が極めて重要となると考えられます。

ウォン高は完成車の輸出採算には重荷となりますが、半導体チップなどの重要電子部品をドル建てで調達している韓国国内の電装部品メーカー(現代モービス、HL Mandoなど)に関しては、輸入原価の低減につながる好材料となります。

EV市場の再加速は、完成車メーカーにとっては、EVの販売採算が相対的に低いためEV比率の上昇が短期的な利益率を圧迫する懸念があるものの、電装部品メーカーは各OEMのEV生産拡大や新車投入に伴う出荷数量増加のメリットを享受できます。

また、ロボティクス関連セクターも裾野を広げると思われます。米テスラ社のヒューマノイド「オプティマス」の量産体制構築や、中国の宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)、米Figure AI(フィギュアAI)、米アジリティ・ロボティクスといった有力ロボット企業の新規上場や量産が本格化する中で、特定の完成車系列にとどまらず、高品質な制御・アクチュエータ部品を供給できる独立系部品サプライヤーの価値が再評価されると見込まれます。

自動車セクターの注目ポイント

HL Mando:上半期の出遅れ修正とロボット部品への展開力

上半期は特定グループ主導の相場展開の中で株価が伸び悩んだものの、下半期は制御およびアクチュエータ分野の卓越した技術力と、多角化されたグローバル顧客ネットワークが改めて評価される局面を迎えると思われます。世界のロボットメーカーが量産準備を進める中で主要サプライヤーとしての価値向上が見込まれるほか、2026年の通期営業利益は4,070億ウォン(前年比14.0%増)と下半期に向けて力強い業績回復が期待される見込みです。

現代オートエバー:フィジカルAIインフラ投資の直接的な恩恵

現代自動車および起亜(韓国:000270)向けに約3,650億ウォン規模のGPUサーバー統合調達・供給契約(売上高比8.6%)を締結したと見込まれるほか、約4,000億ウォン規模のAWSクラウド長期供給契約(2031年まで)を公表し、グループのAIインフラ整備の中核を担っております。大規模な設備投資負担を伴わず、下半期から即座にAI関連の売上・利益を計上できるという高い業績透明性が強みです。

現代モービス(韓国:012330)

強固な収益基盤であるアフターサービス事業に支えられた高い利益体質を実証しており、下半期は電動化工場の稼働率回復とロボット基幹部品のサプライチェーン管理能力が際立ちます。

このように下半期における韓国の自動車セクターでは、単なるテーマ性の期待にとどまらず、コスト改善とともにAIインフラや世界の電装・ロボット供給網において具体的な業績寄与が証明できる「拡張型部品メーカー」に注目する必要があると考えています。

※本記事の予想については有進投資証券が作成したものです。
※アイザワ証券ではHLマンド、現代オートエバーの取扱いはありません。

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ライター

成 承桓

有進投資証券

成 承桓

全南大学卒業後、未来アセット証券、教保証券、SK証券を経て、2008年に有進投資証券入社。国際営業チーム、海外事業チーム、海外投資チームを経て、2021年よりマルチ金融チームで日本の不動産及び金融商品を担当している。趣味はランニングと映画鑑賞。

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