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コリアインサイト AIチップの本当のボトルネックは「基板」にある

2026.07.27 (月)

有進投資証券

成 承桓

コリアインサイト AIチップの本当のボトルネックは「基板」にある

近頃、サムスン電子(韓国:005930)やSKハイニックス(韓国:000660)などのAI半導体関連銘柄の株価変動が大きくなり「AIブームは終わったのでは」と不安に感じる投資家の方も少なくないかもしれません。しかし業界の内部を見るとその逆で、AIチップとそれをサーバーに実装する「基板」や「部品」の供給不足が深刻化しています。今回はこのボトルネックを2つのキーワードで整理していきます。

半導体パッケージ基板(FC-BGA)の慢性的な供給不足

今年、世界のFC-BGA(※1)メーカーは合計約15.6兆ウォンの新規設備投資を発表しましたが、稼働まで1~1.5年かかる上、層数が増えるほど1層当たりの歩留まり(※2)が約10%低下するため、実質的な生産能力の増加は2028年以降も約250万㎡にとどまる見通しです。一方、台湾企業のTSMCによるAI半導体のパッケージング技術、CoWoS(※3)のキャパシティは2028年までに現在の約2倍に拡大させる見込みで、この拡大だけで約400万㎡の追加需要を生むと予想されています。さらに米インテルの復活により、米Googleの次世代TPUが米インテルのEMIB-T(※4)を採用する見込みで、これも企業の生産能力からの算定に基づき、約120万㎡の追加需要要因と推測されています。
しかし供給の増加は需要の伸びに対して半分にも届かず、FC-BGA市場の需給逆転は当面起こりにくい状況です。

この市場で韓国を代表するのがサムスン電子です。サムスン電子はEMIB-T向け中核部品(シリコンキャパシタ)を大規模受注し、サーバー・AI向け売上拡大の恩恵を受けています。

メモリ用BT基板とMLCCの供給不足

データセンター向けCPU市場は2025年の258億ドルから2030年に1,800億ドルへ、年平均47%で成長する見通しです。米エヌビディアの次世代CPUVera CPU」により、従来スマホ・PC向けだったLPDDRメモリの需要先がAIサーバーへ移り、新型メモリモジュール(SOCAMM2)向け需要は2028年までに約3.8倍に増加すると推定されます。最近の仕様変更問題は「他社委託を請け負うファウンドリよりメモリの供給不足のほうが深刻」であることを示しており、BT基板ラインは2028年頃にはフル稼働に達する可能性が高いとみられます。国内ではサムスン電子、シムテック、デドク電子がほぼ寡占しており、サムスン電機とデドク電子が直接的な恩恵を受ける見込みです。

同時に、AIアクセラレータの消費電力の増加により積層セラミックコンデンサ(MLCC)の需要も拡大しており、高スペック化が既存の生産キャパシティを侵食する流れが続いています。この分野もサムスン電子が韓国国内代表企業で、北米大手クラウド事業者とAIサーバー向けMLCCの長期供給契約を締結しました。日本企業の村田製作所や太陽誘電と肩を並べて競争する分野です。

AI半導体のサプライチェーンは「誰がより多くのGPUを作れるか」から、GPUを組み立てる基板・部品の供給力へと重心が移っています。最近の株価調整にもかかわらず関連部品業界の需給はむしろタイトになっており、韓国のIT部品・電子セクターを見る際の参考になればと思います。

1 FC-BGA(Flip Chip Ball Grid Array):半導体チップとメイン基板を接続する高性能パッケージ基板。AIサーバー向けGPUなど高スペックチップに不可欠な部材。
2 歩留まり:生産した製品のうち良品(正常品)の割合。歩留まりが低いほど、実際に販売可能な生産量が減少する。
3 CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)TSMCの先端半導体パッケージング技術で、複数のチップを1つにまとめて性能を高める工程。AI半導体生産のボトルネック区間とされる。
4 EMIB-T(Embedded Multi-die Interconnect Bridge):インテルのチップ接続技術で、TSMCCoWoSと競合する先端パッケージング方式。

※本記事の予想については有進投資証券が作成したものです。
※アイザワ証券ではシムテック、デドク電子の取扱いはありません。

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ライター

成 承桓

有進投資証券

成 承桓

全南大学卒業後、未来アセット証券、教保証券、SK証券を経て、2008年に有進投資証券入社。国際営業チーム、海外事業チーム、海外投資チームを経て、2021年よりマルチ金融チームで日本の不動産及び金融商品を担当している。趣味はランニングと映画鑑賞。

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