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ASEANトピックス ASEANサミット2025から

2025.12.10 (水)

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市場情報部

ASEANトピックス ASEANサミット2025から

当記事は毎月、アイザワ証券投資情報サイトに掲載しているアイザワ・グローバルマンスリーより抜粋しております。

マレーシアの首都クアラルンプールで、10月26日から28日まで東南アジア諸国連合首脳会議(ASEANサミット)が開催された。ASEAN10カ国の首脳に加え、米国のトランプ大統領、韓国の李大統領、高市首相などが参加した半面、中国の習主席やインドのモディ首相は参加を見送った。サミットのテーマとして、タイ・カンボジアの国境紛争の停戦、ミャンマー内戦への対応、東ティモールのASEANへの加盟等が議論された。ASEANサミットの主要議題についてまとめてみたい。

① タイ・カンボジアの国境紛争の停戦

タイとカンボジアは国境線の画定や領土の帰属をめぐって⾧年対立してきたが、2025年7月には砲撃や空爆などにより双方で民間人を含む50人以上が死亡する軍事衝突へと発展し、戦闘は広範囲に拡大していた。紛争によりタイに50万人以上いるとされるカンボジア人の出稼ぎ労働者が出国を迫られるなど、大きな問題に発展していた。2017年以来、第2次政権としては初めてASEANサミットに参加したトランプ大統領は、議⾧国マレーシアのアンワル首相と停戦を仲介し、和平合意に向けた共同声明の署名に立ち会った。もっとも、メディアの間では、トランプ氏が今回の署名式典を自身を偉大な和平仲介者として認めさせるためのキャンペーンに利用したとみる向きが強かった。11月9日には、国境付近で地雷が爆発し兵士が負傷したことを受け、タイが共同宣言の履行を停止すると発表するなど、和平合意にはなお時間を要すると思われる。

② 南シナ海、ミャンマー内戦への対応

ASEANが抱える南シナ海の領有権問題やミャンマーの内戦も主要議題の一つだった。中国は9月、フィリピンと領有権を争っているスカボロー礁を、海洋の生態系を保護するためとして国家級自然保護区に指定した。こうした中国の威圧的な動きに対し、フィリピンのマルコス大統領は、同国の漁船が南シナ海で中国から危険な挑発を受けていることを非難し、国際法に基づき毅然とした態度で臨むと強調した。議⾧国マレーシアのアンワル首相は、南シナ海の問題はASEANとパートナー国間で解決されるべきと強調した一方、状況はコントロールされているとの認識を示した。内戦が続くミャンマー情勢は、軍事政権が12月実施予定の総選挙で民主派を排除して強行する姿勢に対して、各国から深刻な懸念が表明された。各国は軍事行動の即時停戦や当事者間の対話などを求めるなどしたが、ミャンマーの軍事政権のトップであるミン・アウン・フライン総司令官はサミットを欠席し、足並みは揃わなかった。

③ 東ティモールを11番目の加盟国として承認

東ティモールは2002年にインドネシアから独立したアジアで最も新しい国家である。人口は約140万人、一人当たりGDPは約1,500ドルとミャンマーに次いで加盟国で最も低い(IMF、2025年)。主な産業は原油と天然ガスなどの天然資源、コーヒー豆などの農作物の輸出だ。10月にASEANに加盟したことで、6億7,000万人を超える市場にアクセスし、包括的な経済協定の下で域内経済との関わりが強まり、同国経済は多大な恩恵を受けるだろう。反面、最大の輸出相手が中国となっており、両国は2023年のジャカルタサミットで巨大経済圏構想「一帯一路」の下で協力を進めることにも合意していることから、南シナ海の豊富な天然資源をめぐり中国の存在感が増すことに注意が必要だろう。

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