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コラム

2025年夏の参院選版「政治家は選挙のときだけ」に向き合う方法

2025.07.15 (火)

独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

2025年夏の参院選版「政治家は選挙のときだけ」に向き合う方法

今回の参院選は現役世代への保障や重視施策が議論されていることもあり、20代から60代の「現役世代」の関心も高いように見えます。少なくとも「政治に冷めている」ことを感じさせない雰囲気ですが、一方でこれまでの国政選挙でも「選挙の結果が出ると、なし崩し的に政治家の発信は減少し、あのときの公約がどうなったのかわからない」という現象は何度も繰り返されてきました。

いわゆる「政治家が有権者の方を向くのは選挙のときだけ」という現象です。目下の熱量は国を前に進めるために有権者としてとても大切なものです。では2025年の参議院選挙が終わったら、引き続き我々は政治に関心を持ち続けることはできるのでしょうか。国政の「数の論理」から考えます。

参院選にて政権与党が過半数を割ったらどうなるのか

既に選挙期間に突入しているため、野党の特定政党が勝ったら、という仮定は適切ではありません。そこで、「政権与党が過半数を割ったら」を考えます。

2025年7月現在、参議院の定数は248です。単純に過半数は125となります。参院の任期は6年で、半数は今回非改選となるため、政権与党である自民党・公明党は75の議席を有しています。125-75で、目標は「改選50を超えること」です。
仮に参院にて与党が過半数を割ったら、一気に「政局化」をします。参院・衆院ともに政権与党だけでは採決が通らないためです。2025年の予算審議のように都度野党を賛成側に組み入れたり、現在の自公+αとなる動きが活発化することでしょう。

なお参考までに衆議院は、小選挙区と比例代表を合わせて465議席です。2024年衆院選を終えた時点での自民・公明は過半数の233を下回る220議席(選挙後の無所属追加公認を含む)であり、与党のみで採決を通すことはできません。この前提の下で本記事の分析を進めていきます。

補正予算にて給付金の議論がある?

再度衆院が解散され、総選挙が行われるのか。2000年代に入ってからも639日で再度衆議院選挙が行われたことがあります(2003年第二次小泉内閣)。とはいえ衆院選も2024年の秋に実施されたばかりです。参院選の結果を受けて衆院が解散される可能性はゼロではありませんが、現状情勢のまま駆け引きが続く見通しもあります。そうすると参院選に思いを込めた一票を託した我々は、いずれ来たる投票の機会に首を長くしつつ、国会審議を眺めるだけなのでしょうか。

そこで注目したいのが、「補正予算の審議」です。

例年、補正予算は11月から12月にかけて開催される臨時国会にて審議され、成立します。各省庁の概算要求から6カ月前後をかけて成立する本予算と比較すると、きわめて短期間の成立スケジュールです。秋から年末にかけて成立しやすい傾向があるものの、成立する回数や時期は不定期といえます。

2025年後半は、参院選で議論した内容をどこまで補正予算に盛り込めるかという点に注目が集まることでしょう。政権与党が主張するように、国民に対し一律の給付金を配る場合は、補正予算を通さなければなりません。また反対に、社会保障の削減なども補正予算から具体的に進むと考えられます。
補正予算の議論を見て、我々に約束した選挙公約が守られないようであれば、我々はあらためて支持率などで意志を示し、総選挙の実施を訴える、という流れになるでしょう。これは与党も野党も一緒です。

2026年度税制改正大綱

昨年の年末に「103万円の壁」「教育無償化」という議論がメディアを通して発信されたことを覚えているでしょうか。そのときに議論されたのが「税制大綱」です。参院選後の2025年秋から冬にかけて、2026年度の税制大綱の議論が行われる見込みです。

給付金に力を入れる与党に対して、野党の多くは「減税」の主張をしています。総選挙が行われない限り、26年の税制大綱ではどこか野党の公約を取り入れた税制大綱が発表される可能性が高いです。そこで我々は応援した野党に対して「税制大綱に入れ込むことができたか」も評価ポイントであり、同時に野党として大綱の反対の立場を貫いたことで、政権交代に期待することもできます。

参院選の勝者は「世代の代表者」になる可能性

ここまで補正予算と税制大綱の視点から、参院選後の地殻変動を予想してきました。前提として、参院選で躍進をした政党の党首は民意を得て、「(自分たちが重視する)世代の代表者」となる可能性が高いです。
現役世代や特定の思想を持つ世代が政党を押し上げ、神輿の上に乗ったという表現が正しいでしょうか。その一方で、特定の領域だけを重視した政治姿勢では、魑魅魍魎が住む世界は生きていけません。

この二十年を見ても、何度かこうして新たな主役が生まれ、民衆の支持を一気に集める局面がありました。どのタイミングよりも現役世代が重視されているいま、我々は選挙後も力を緩めず、応援していきたいと思います。そのスタートをも意味する参院選はまもなく、7月20日に控えています。

記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」(https://imakara.traders.co.jp/

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ライター

工藤 崇

独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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