
米国株6月月間回顧
2025.07.08 (火)




6月は主要3指数がそろって大幅続伸 S&P500とナスダック総合が史上最高値を更新
6月の米国市場では、ダウ平均が1824.70ドル高(+4.32%)、S&P500が4.96%高とともに2カ月続伸し、ナスダック総合は6.57%高と3カ月続伸となりました。
上旬は、米中の貿易交渉進展期待が支えとなる中、ハイテク株の上昇が相場をけん引しました。5月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回る増加となったことも安心感につながりました。
中旬はイスラエルがイランの核施設や軍事施設などを攻撃し、イランが報復としてイスラエルにミサイルで反撃したことで中東の地政学リスクが意識されリスク回避が強まりました。注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)では予想通り政策金利が据え置かれ、メンバーのFF金利見通し(ドットプロット)では年内2回の利下げ見通しが維持されました。しかし、2025年の国内総生産(GDP)成長率見通しが引き下げられた一方、インフレ見通しが引き上げられたことでスタグフレーションの可能性を示唆する内容となりました。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が関税による経済の不確実性を強調し、利下げは今後のデータ次第だとする姿勢を維持したことも利下げ期待の後退につながりました。しかし、ウォラーFRB理事が、早ければ7月にも利下げ出来る状況にあると発言したことで再び早期利下げ期待が高まりました。
下旬は中東の地政学リスクの緩和や貿易交渉の進展期待を背景に買いが強まりました。トランプ大統領はイスラエルとイランが停戦に合意したと表明し、イスラエルとイランが停戦合意を順守したことで安心感が広がりました。貿易交渉を巡っては、ラトニック米商務長官が米中貿易協定の枠組みが最終決定したと述べたことや、カナダがグーグルやメタなどに課すデジタルサービス税を撤回したことで米国とカナダの貿易交渉進展期待が高まったことも株価の追い風となりました。
S&P500は27日に2月19日以来、4カ月ぶりに史上最高値を更新し、ナスダック総合も27日に昨年12月16日以来、半年ぶりに史上最高値を更新しました。月末30日もS&P500とナスダック総合がともに続伸し、連日で取引時間中と終値の史上最高値を更新して終了しました。
第2四半期ではダウ平均が4.98%高、S&P500が10.57%高、ナスダック総合が17.75%高となり、年初来ではダウ平均が3.64%高、S&P500が5.50%高、ナスダック総合が5.48%高となりました。
米国主要株価指数の騰落率

出所:LSEGデータよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
ダウ平均、S&P500、ナスダック総合の推移

出所:LSEGデータよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
S&P500の11セクターは9セクターが上昇、2セクターが下落
S&P500の11セクターは9セクターが上昇し、2セクターが下落しました。
騰落率上位はITが9.7%高、コミュニケーションが7.2%高とともに大幅に3カ月続伸となりました。エネルギーも4.7%高と2カ月続伸し、資本財、金融も3%超上昇しました。一方、生活必需品が2.2%安と3カ月ぶりに反落し、不動産も0.5%安と小幅に反落しました。
月間上昇率トップのITでは、AI需要の高まりを背景に予想を上回る決算や強い見通しを発表したソフトウェア大手のオラクルが月間で32.1%高と急伸し、半導体大手のエヌビディアとブロードコムもそれぞれ16.9%高、13.9%高となりました。マイクロソフトは8.0%高と一桁台の上昇にとどまりましたが、上場来高値を更新しました。
上昇率2位のコミュニケーションではメタ・プラットフォームズが14.0%高、ネットフリックスが10.9%高となりともに上場来高値を更新しました。
ウォルト・ディズニーも9.7%高となり、52週高値を更新しました。
S&P500セクター別騰落率

出所:LSEGデータよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
ダウ平均採用銘柄は19銘柄が上昇し、11銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は、6月月間で19銘柄が上昇し、11銘柄が下落しました。
17.9%高と上昇率トップとなったゴールドマン・サックスは、バンク・オブ・アメリカが強い先行き見通しを示したことや、米連邦準備理事会(FRB)のストレステストに合格したことで株主還元策期待も高まりました。
上昇率2位のナイキは業績見通しが市場予想ほど悪化しなかったことや、HSBCが投資判断を「ホールド」から「バイ」に引き上げ、3年半ぶりに買い推奨としたことで17.2%高となりました。
エヌビディアはアナリストの買い推奨や目標株価引き上げを好感し、連日で上場来高値を更新。月間で16.9%高となりました。一方、マクドナルドはモルガン・スタンレーが投資判断を「イコール・ウエート」に引き下げたことや、レッドバーン・アトランティックが投資判断を「セル」に2段階引き下げたことが嫌気され6.9%安と下落率トップとなりました。

出所:LSEGデータよりDZHフィナンシャルリサーチ作成
記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」(https://imakara.traders.co.jp/)
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