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【ベトナムでツナガル】日越を“サッカー”と“ビジネス”で結ぶ グエン・ボー・フェン・ユーンさん(静岡)

2024.07.23 (火)

アイザワ証券

アイザワ投資大学 編集チーム

【ベトナムでツナガル】日越を“サッカー”と“ビジネス”で結ぶ グエン・ボー・フェン・ユーンさん(静岡)

インタビューに答えるユーンさん

在留ベトナム人はいまや50万人を超え、私たちの生活に身近な存在となりつつある。

今回は日本で活躍するベトナム人経営者の一人、グエン・ボー・フェン・ユーンさん(以下ユーンさん)にお話を伺った。

ユーンさんは静岡県浜松市でコンサルティング会社「N&Vブリッジ株式会社」を経営しており、主に日本企業のベトナム進出サポートや市場調査、マッチングなどを手掛けている。

留学で静岡へ

初来日から今年で24年を迎えるユーンさん。もともとベトナム中部のダナン市出身で、高校卒業までベトナムに在住。日本に来るきっかけは大学進学。当時、すでにベトナム国内の工科大学の進学が決まっていたが、国から海外留学を勧められた。留学先候補の中から「電気電子といえば日本」と思い、日本行きを決断したという。来日後は日本語学校を経て、静岡大学電気電子工学科に入学した。

来日当時と比べて、ベトナムのニュースを目にする頻度が増えたというユーンさん。当時は日本語を使わなければと生活することができなかったが(そのため日本語が上達につながった)、在留ベトナム人が増えた現在はベトナム語だけでも生活できるようになってきたそう。「ベトナム人に対する距離感や壁もなくなってきたと思います」と笑顔で話す。

生活面でも利便性が向上しており、以前はベトナムの食材を手に入れるために上野まで足を運ばなければならなかったが、現在は取り扱うお店が浜松市内でも10店舗ほどがあり、暮らしやすくなったという。

日本企業進出の立役者。政治とビジネスを橋渡し

静岡大学への留学を機に、大学発ベンチャーとして立ち上げたのが「N&V BRIDGE GROUP」だ。同社は主力のコンサルティング事業の他に、ウェディングや不動産、飲食と幅広い事業を手掛ける。その理由についてユーンさんに尋ねると、クライアントとの合弁事業で増えていったものが多いという。

同社は、これまで多くの日本企業のベトナム進出を支援してきた。支援企業の中には、コンビニエンスストア大手のA社や飲食大手のB社、流通大手のC社などベトナム現地でよく耳にする日系企業も多い。ユーンさんは「日本企業のベトナム進出を支援したことによって、(一部産業における)外資規制の撤廃に繋がってきました」と話す。

例えば外食産業の外資規制撤廃に繋がったB社の案件では、当初ベトナム進出への打診をするもB社から外資規制の懸念を受ける。しかしB社からベトナム政治家への交渉依頼を受け、ユーンさんは経済産業大臣のところまで行って話をつけたそう。「法整備がまだで、ベトナムで誰もやっていないビジネスは、大臣のところに行ってたくさん説明することが大切なのです」と語る。

その後外食産業の以外にも目をつけ、同じく外資規制のあった婚礼業ではリゾートウエディングを手掛けるD社と合弁会社を設立し、ベトナム屈指のビーチリゾートのダナンへの進出を支援。現在は葬祭業に注目しており、こちらも日本のE社との合弁会社の設立を進めているという。

日本とベトナムに6拠点を構える。写真は2019年のハノイ事務所開設時

ベトナムサッカーの奥深さ

今回の取材で興味深かったテーマが「サッカー」だ。

幼いころからサッカーに慣れ親しみ、ダナン市のサッカー少年団にも在籍していたというユーンさん。現在は日本在日ベトナムサッカー協会全権代理、そしてハノイ市のサッカー協会の副理事長を務めており、ユーンさんとベトナムサッカー界との繋がりは深い。

ユーンさんは語る。「ベトナム人はサッカー大好きである」と。

例えばベトナム代表の国際試合ではスタジアムにVIP席が設けられ、国家主席や首相を始め、多くの政治家が観戦。サッカー協会理事のユーンさんも同じ席で観戦するというが、「監督にあの選手変えるように言え。変えないと負けるぞ」とたまに首相から声をかけられることもあるそう。「首相もむきになるほどベトナムでサッカーは根付いているのです」とユーンさんは話す。「日本の企業だけでなく世界の企業がベトナムに来て成功するための秘訣はサッカーのネタを掴むことにあると思います。これは間違いないと思う」とも付け加えた。

ベトナム初の少年サッカーマンガ「ソンゴール」とベトナムマンガ界のこれから

「サッカーの力を借りればベトナムではビジネスを含め、いろんなことができる」と話すユーンさん。

昨年、日本とベトナムは外交関係樹立50周年を迎え、それを記念してベトナム初の少年サッカーマンガが出版された。ベトナム発のマンガを作りたいと考えていたユーンさんは、大手出版社のKADOKAWAとともにマンガプロジェクトを立ち上げる。芸大の理事も務めるユーンさんは「(ベトナム人は)絵は描けるが、マンガのストーリーが描けないです。日本には何十年もマンガの世界がありますが、ベトナムのマンガ産業は若いです」と指摘。KADOKAWAに協力を得て、マンガ育成コースを芸大で開講するなど力を入れている。

また日本のマンガやアニメの海賊版問題にも触れ、「(出版社の方にも話すのが)海賊版問題をなくす近道と考えるのは、(その国の)先生たちが自分たちの作品が売れるようになることだと思います。自分たちの商品がマンガ、アニメ、映画、ゲームで売れるようになって海賊版が出てきて、売り上げが落ち込むことになれば、海賊版に対しての対応が厳しくなると思います」と話す。

ユーンさんはソンゴールの作者である馬場民雄さんとベトナム漫画家たちの交流会にも参加

日越の経済・スポーツ・文化、政治の交流に貢献

「日越の経済・スポーツ・文化、政治の交流に貢献したいです」と話すユーンさん。

増え続ける在留ベトナム人に対して、生活支援やスポーツ交流支援を行なうNPO法人を立ち上げ、日越の友好発展に力を入れる。

特にスポーツ交流支援では「サッカーベトナムの代表誘致」に取り組んでおり、これまでに男子U20や女子U18の誘致に成功。ユーンさんは「日本で働いているベトナム人も喜んでもらっているし、彼らの働いている会社もスポンサーとして協力してもらっている」と確かな手ごたえを実感しているという。

今後については「日越議員連盟協会に参加して、日本語を話せるベトナム人の立場として両政府に貢献したいと考えています」としっかり日越の将来を見据える。

サッカーU-18ベトナム代表の強化合宿を静岡に誘致

【 団体情報 】

名称:N&V Bridge Group

住所:〒430-0802 静岡県浜松市東区将監町35-5明輝ビル1E

設立:2011

ホームページ: https://nvbridge.com/

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