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「ディープシーク・ショック」から資産を護るポイント

2025.02.04 (火)

独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

「ディープシーク・ショック」から資産を護るポイント

1月28日(火)朝、今や個別株やインデックス投信で、世界の株式市場を牽引しているといっても過言ではないNVIDIA(エヌビディア)が終値で16%の下落を記録しました。この影響を受け、28日の日本市場における半導体銘柄も下落基調です。背景には中国であらたに発売されたAIである「Deepseek(ディープシーク)」の存在があります。米株の代表格となっていた半導体株に影響を与えています。

Deepseekとは

Deepseekは日本時間1月20日に発表された中国発の大規模言語モデルです。前触れなく突如公開され、世界中から注目されています。OpenAIに似たチャットUIとWeb検索機能を搭載しています。識者によってはアメリカの半導体に対して「ジャイアントキリング」を仕掛けたとも評価され、27日夜のアメリカ半導体市場を直撃しました。

中国発であることのデメリット

一方で、同サービスが中国発であることも踏まえ、懐疑的な見方も広がっています。天安門事件や共産党関連の質問には回答しない追及記事も広がる一方、同国初のサービスに向けられている情報漏洩の可能性も否定できないものです。TikTokなど中国発のサービスに対する反発は広がっており、国が介入することで世界的な評価が伸びない可能性もあります。そう考えると数日すれば半導体市場も落ち着き、再度アメリカ発の各種サービスが主導する流れに戻っていくとも考えられます。

「令和のブラックマンデー」で損をしなかった見送り勢

現在資産ポートフォリオを投資信託、若しくは個別株の形で半導体関連が占めている人も多いでしょう。全米型、もしくはオールカントリー型には半導体銘柄が広く構成されているほか、半導体のみの投信も人気があります。これらは早々に手放すべきでしょうか。
ここで1つ、参考にすべき事例があります。2024年8月5日の日経平均、いわゆる「令和のブラックマンデー」です。

日経平均株価

米株の過熱感と日銀の利上げに端を発する下落は、日経平均の1年足を見ても際立っています(上記チャートの真ん中の下落)。ところがその後1週間で株価は元通りになり、40,000円周辺を推移しました。
この時も今回のように、一部の扇情的なインフルエンサーを中心に「株はもう終わりだ」という意見が目立ち、いわゆる「狼狽売り」が目立ちました。

中長期投資は様子見も、状況変化への対応力を

今回も同様と考えます。米株中心で中長期投資を進めている個人投資家は、もう少し様子を見ましょう。Deepseekが、現在のアメリカ発半導体・ハイテク株が牽引する市場を、根本からひっくり返す「ゲームチェンジャー」になる可能性は、現在のところはそれほど高くはありません。

一方で、個別株でも半導体に広げている方は、一時的なリバランスも選択肢になってくると考えます。鍵になるのは、Deepseekが今後どれだけ実務化の流れを進めることができるかです。早速日本のサイバーエージェントがDeepseekの蒸留モデルをベースにしたモデルを公開しました。このような動きが広がれば、投信部分も「一時的な避難」をする必要が生じてくる可能性もあります。

新NISAは短期的な相場への対応力もある

NISAで資産構築している人に対しては注意点もあります。年間360万円の年間投資枠が設定された「新NISA」は、売却をするとその投資枠を再利用できます。旧NISAはできなかったため、「短期的な流れで売買をすると、年間投資の予定が狂う」と考えている人も多いでしょう。
ただ、このあたりが複雑です。新NISAで市場の変化を読み取り売却しても、年間投資枠は増えません。積み立て枠で最大120万円、成長投資枠で240万円です。売却によって枠が復活するのは、一生涯で1,800万円(うち成長投資枠で1,200万円)の「非課税保有限度額」です。
つまり、年間360万円をフルで投資をしている人は、短期売買への対応によって年間予定が狂うことは有り得ます。基本的には当初の投資予定を重視しつつ、リスクヘッジができないという場合に例外的に動く、という柔軟な姿勢が大切になります。IFAなど、株式投資へのアドバイスを専門にしている人材を近くに置き、定期的に情報をアップデートするようにしましょう。

2025年全体で見ると、今回の騰落に関係なく、全米型株式に高騰感が見え、横ばいトレンドか下落トレンドになる、という見方もあります。実際に「投資の神様」とも呼ばれるウォーレン・バフェットは、2024年末に何かを意識したかのごとく「現金化」を進めました。

ディープシーク・ショックから資産を護るポイントは、これから訪れる2025年における我々の「泳ぎ方」を示唆しているとも考えられます。

記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」(https://imakara.traders.co.jp/

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ライター

工藤 崇

独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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