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コラム

個人投資家は自民党総裁選に着目した方がいいのか

2024.09.03 (火)

独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

個人投資家は自民党総裁選に着目した方がいいのか

2024年11月に実施されるアメリカ大統領選挙に関して、経済メディアなどでは「トランプ(カマラ・ハリス)候補が勝つとこの銘柄が伸びる」といった特集が組まれています。大統領候補本人が関わっている企業もさることながら、二大政党制であるアメリカでは、政権与党によって伸びる企業があります。

翻って日本はどうでしょうか。期せずして日本も2024年9月に国のトップを決めることになりました。その自民党総裁選では現職の岸田総裁が不出馬し、あらたな総裁を選出します。あらたな自民党総裁は内閣を組成し、内閣総理大臣となることは確実です。

「実業の立ち位置」から距離を置く日本の政治

結論を先に書くと、自民党総裁によって個別銘柄が伸長する可能性はそれほど高くありません。保守派だから防衛産業が伸びるとか、最新テクノロジーに明るいからIT・ハイテク株に期待できるという視点は確かにありますが、総裁となる政治家本人に起因するものではありません。なぜでしょうか。

ひとつの理由は、政治家になる段階で「それまでのキャリア」にいったん区切りをつけるケースが多いためです。現状、日本では政治家になるにあたって、企業人としては退職をして選挙に臨むケースが多いです(会社役員などは例外となることもあります)。

また世襲が多いのも日本政治の特徴です。世間的な反発により一時期世襲は忌避されたものの、今回の総裁選を見ても多くの「二世議員」がいます。もちろん二世だから政治家としての能力如何に繋がるものではありませんが、政治家一家が多いというのは日本政治の大きな特徴といえるでしょう。

現在副総理として自民党政治に君臨する麻生太郎氏の弟は九州でセメント・病院経営の一大グループを展開していますし、立憲民主党の幹事長である岡田克也氏の父親は「あの」イオングループの前身です。いずれも与野党において要職についているからといって、家族が経営を担う企業が株価面で注目されることはありません。

2024年の40代の立候補により流れは変わるか

8月28日現在、今回の自民党総裁選には40代の政治家2名の立候補が確実視されています。かたや神奈川県の名門政治家一家の出身、かたや東京大学から財務省という超がつくエリートながらも、特定の産業領域の影響は見られません。

両候補者には、それぞれ党内グループの支持があると見られています。そもそも20人の推薦人が必要な総裁選において、直接民主制だと人気が出そうな1期目の候補が出たとしても、なかなか支持を得ることは難しいものです。政治家として年月をかけるなかで、たとえ政治家になる前に実業界との繋がりがあったとしても希薄化していくのではないでしょうか。

だからこそ経済論争に注目を

だからこそ、個人投資家は有権者として、経済論争に注目したいところです。2024年8月に利上げを実施した日銀(日本銀行)は、今年中に再度利上げをする可能性を否定してはいません。また振れ幅の大きい円高円安といった為替の傾向も、内閣がタクトを振るう経済政策と関係の深いものです。

筆者の肌感ですが、2024年年明けから新NISAがスタートして以降、投資初心者への講演やマネースクール関連の仕事が増えてきています。授業料を出して受ける以上、ローリスクにインデックスに特化した投資ばかりではありません。個別株やETF、もしくは現物資産といった一定のリスクが潜在するものを投資対象とします。

また個別株を分析するには、ファンダメンタルが欠かせません。この時に各企業の決算書とともに評価されるのが、自他国における金融政策です。「日本の政治は実業とは距離感がある」ではなく、「実業の背景を理解しつつ、日銀や財務省とタッグを組んで経済を発展させる」候補者を選ぶべきではないかと考えます。

改めて総裁選を見ると、やはり違和感は否めません。公示前だからかもしれませんが、総裁選をめぐるキーワードは「派閥・裏金・某宗教団体」といったところでしょうか。確かにすべて重要な議論ではありますが、もう少し経済論戦に期待したいところです。

総裁以外のポジションにスペシャリスト配置の期待

とはいえ、「日本ならでは」の傾向もあります。国民に対し最適格の経済政策を展開できるスペシャリストがいるとして、それが本当に総裁であるべきなのかという議論です。

自民党総裁は内閣総理大臣という、国のリーダーになります。当然経済政策に集中できる立場ではありません。それよりも党三役でいえば政策を司る政調会長、内閣でいえば経済産業大臣などにスペシャリストが配置され、総理顔負けの存在感を示すこともまた、経済面における日本の存在価値向上に繋がることでしょう。これまでの日本は外交を担う外務大臣が「アイコン」になることはあっても、経済面は同様の傾向が無かったように思えます。

40代の総理大臣が誕生する可能性は、どれほどのものなのでしょうか。ともすれば政党政治の希薄化の先に、経済政策の強化とアイコン誕生があれば、我々はもっと期待値を持って選挙の行方を見守るべきかもしれません。

記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」(https://imakara.traders.co.jp/

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ライター

工藤 崇

独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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