ゼロから学べるアイザワ投資大学

会員登録(無料)

記事検索

米国

【米国株】eスポーツ(後編)サッカーゲーム「FIFA」でW杯開催

2024.03.12 (火)

中国株情報部

島野 敬之

【米国株】eスポーツ(後編)サッカーゲーム「FIFA」でW杯開催

オンラインゲームは手軽な娯楽の代表格で、調査によると、世界のゲーム人口は約37億人に達しています。スマートフォンの普及に伴いモバイルゲームで遊ぶ人が増えたようで、スマホを入口に本格的なゲーマーになる人も増えると予想されます。

注目度の高まっているeスポーツはゲーム市場の多様化やファン層の拡大に不可欠な上、ゲームソフトからゲーム専用機器などのハードウエアまで産業のすそ野は広く、ゲーム人口増加の恩恵も受けます。2023年9-10月に開催された杭州アジア大会で正式種目に採用され、五輪への採用も取り沙汰されます。

前回は約10兆円という大枚をはたいてゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードを買収したマイクロソフト(MSFT)を取り上げました。今回はエレクトロニック・アーツ(EA)、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア(TTWO)、コルセア・ゲーミング(CRSR)、タートル・ビーチ(HEAR)というeスポーツ関連銘柄をご紹介します。

エレクトロニック・アーツ、サッカーゲーム「FIFA」でW杯

エレクトロニック・アーツはカリフォルニア州レッドウッドシティに本社を置くゲーム会社です。家庭用ゲーム機、パソコン、モバイルフォン、タブレットなどのプラットフォームに向けたゲームの開発や配信を手掛けています。

シューティングゲームやスポーツゲームなどを中心に人気ゲームを取り揃え、家庭用ゲーム機向けのゲームではソニーの「PlayStation」とマイクロソフトの「Xbox」に提供しています。

eスポーツでは一人称視点(FPS)のバトルロイヤルシューティングゲーム「エーペックスレジェンズ」が人気です。地域ごとの予選を勝ち抜いたチームが戦うグローバルシリーズも開催されており、2023年の「エーペックスレジェンズ・グローバルシリーズ(ALGS)選手権」の賞金総額は500万ドルと伝わっています。

レースゲームでは「F1」がeスポーツでも人気があります。リアルな世界の自動車レースの最高峰「F1世界選手権」を主催する国際自動車連盟(FIA)の公認のレースゲームで、コロナの影響で2020年にリアルな世界のFI世界選手権が相次いで中止に追い込まれた際には現役ドライバーがeスポーツの「F1」に参戦しました。エレクトロニック・アーツは開発会社の英コードマスターズを2021年に買収し、eスポーツの「F1」を傘下に組み入れています。

エレクトロニック・アーツの業績推移

一方、スポーツゲームの本命ともいえるサッカーゲームでは国際サッカー連盟(FIFA)と提携し、その名も「FIFA」というタイトルのゲームを開発しました。eスポーツでは、やはりFIFAとエレクトロニック・アーツが共同で「FIFA eワールドカップ」を開催しており、2023年9-10月の杭州アジアでも正式種目に採用されています。

ただ、FIFAとエレクトロニック・アーツの関係は悪化し、「FIFA2023」を最後に提携は解消されました。エレクトロニック・アーツは「FIFA」の後継ゲームとして「EA SPORTS FC24」をリリースしています。内容面では「FIFA」から大きな変化はないようで、eスポーツでも世界各地の予選を勝ち抜いたプレーヤーによる世界選手権が行われる予定です。

テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア、NBAと提携

テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエアはニューヨークに本社を置くゲーム開発会社です。ソニーの「PlayStation」とマイクロソフトの「Xbox」、任天堂の「スイッチ」といった家庭用ゲーム機向けのゲームをはじめ、パソコンやモバイル端末用のゲームを開発しています。

米国を中心にオーストラリア、カナダ、中国、ドイツ、インド、スペイン、韓国、トルコ、英国など世界各地にゲームの開発スタジオを持ち、世界的に事業を展開しています。2023年10-12月期の売上高に占める米国外事業の割合は40%に上ります。

ブランドも多様で「ロックスター・ゲームズ」「2K」「プライベート・ディビジョン」「ジンガ」などを展開しています。このうちソーシャルゲームの「ジンガ」ブランドは2022年5月に約127億ドルでジンガ社を買収し、手に入れたものです。

テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエアの業績推移

eスポーツでは、NBA(全米バスケットボール協会)と提携して開発したバスケットボールゲーム「NBA 2K」をもとにNBAと共同で「NBA 2Kリーグ」を運営しています。通信大手のAT&T(T)や食品のモンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)、暗号資産取引所のコインベース・グローバル(COIN)などスポンサーも多く、スポンサーの名を冠したシリーズも行われています。

コルセア・ゲーミング、ゲーム用機器を提供

eスポーツではパソコンのキーボードやマウスといった道具も重要です。力を発揮するには使い慣れた野球のグローブやスパイクが必要なのと同じ感覚なのだと思います。

コルセア・ゲーミングは、本格的にゲームをプレーするゲーマーに加え、ゲーム実況・ゲーム解説動画を配信するストリーマーやコンテンツを制作するクリエイターなどに向けてハードウエアとソフトウエアを提供しています。もちろんeスポーツでもコルセアの製品を使うプレーヤーは多いようです。

主な製品は高性能ゲーミングキーボード、マウス、ヘッドセット、ゲーミングコントローラー、マイク、ウェブカメラ、ゲーミングパソコン、モニター、冷却製品、電源ユニット、DRAMモジュールなどで、「Corsair」「Elgato」「Origin」「SCUF」といったブランドで製品を販売しています。

コルセア・ゲーミングの業績推移

このうちDRAMモジュールについてはほぼすべてを台湾の拠点で組み立て、テスト、パッケージを手掛けています。高速DRAMモジュールは台湾の桃園市にある自社の設備でテストやパッケージングを行い、汎用品はサブコントラクターから調達します。

また、顧客の要望に基づく仕様のゲーミングPCやゲーミングコントローラーは、組み立てやテスト、パッケージを米ジョージア州アトランタにある自社工場で手掛けています。このほかの製品の大部分はアジアの下請け企業に発注し、調達しています。

タートル・ビーチ、ヘッドセットに強み

タートル・ビーチはゲーム用のヘッドセットの世界的な大手です。ヘッドセットとはマイク付きのヘッドフォンのことで、両手をフリーにしなければならないゲームでは必需品です。特にオンラインで遊ぶゲームが増えるにつれて、ヘッドセットも一般的なアイテムになっています。

eスポーツの世界でのゲーマー向けはもちろん、ゲーム実況・ゲーム解説動画を配信するストリーマー向けでも高品質なヘッドセットが求められます。タートル・ビーチは多様な製品でゲーム初心者からプロまでの需要に対応しています。

また、2019年にはゲーム用の周辺機器の開発を手掛ける独ロキャット(ROCCAT)を買収しました。「ROCCAT」ブランドでゲーム用のキーボード、マウス、マウスパッド、ヘッドセットなどを提供しています。

タートル・ビーチの業績推移

記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」(https://imakara.traders.co.jp/

ご留意事項

金融商品等の取引に関するリスクおよび留意点等

お客様にご負担いただく手数料について

免責事項
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、お客様ご自身による判断でお決めください。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更することがあります。このレポートの権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。

ライター

島野 敬之

中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

合わせて読みたい

このカテゴリの他の記事

米国 「ディープシーク・ショック」から資産を護るポイント

「ディープシーク・ショック」から資産を護るポイント

2025.02.04 (火)

米国 【米国株】量子コンピューター(前編)異次元の計算力、次世代の基盤技術をめぐり国家も企業も主導権争い

【米国株】量子コンピューター(前編)異次元の計算力、次世代の基盤技術をめぐり国家も企業も主導権争い

2024.01.30 (火)

米国 米国株相場見通し 2022年7月

米国株相場見通し 2022年7月

2022.07.04 (月)

米国 米国株相場見通し 2021年10月

米国株相場見通し 2021年10月

2021.10.04 (月)

人気記事

アイザワ証券公式SNSアカウント