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アジア株

アジア株週間トピックス 2023年10月23日号

2023.10.23 (月)

アイザワ証券 市場情報部

明松 真一郎

アジア株週間トピックス 2023年10月23日号

先週のアジア株週間トピックスで紹介していた各国の経済統計

アジア諸国の景気 減速目立つ

先週のアジア株週間トピックス(2023年10月16日号)のなかで紹介していましたが、アジア各国でいくつかの注目経済統計が発表されました。10月18日には中国が3Q(2023年7~9月)のGDPを発表し、前年同期比4.9%。2023年9月鉱工業生産は前年同期比4.5%、小売売上高は前年同期比5.5%といずれの統計も事前の市場予想を少し上回りました。そのほか、10月19日にはマレーシアが9月の輸出入統計を発表し、輸出:-13.7%(前年同期比)、輸入:ー11.1%(前年同期比)と予想よりはマイナス幅が小さかったものの、前年割れが続いています。

また19日には、インドネシアの金融政策委員会が実施されました。政策金利は2023年1月に5.75%に引き上げて以降、8会合連続で据え置いていましたが、今回0.25%引き上げ、6.0%としました。世界的にみれば高水準で、インドネシアの高金利は今後同国が経済正常化を目指していく上での重石となりそうです。

今後も、10月23日に台湾の2023年9月の鉱工業生産、10月23~28日にはタイの2023年9月の輸出入など、いくつかの経済統計発表が予定されています。引き続き、各国が発表する経済統計を注目していきたいと思います。

タイのセター首相が中国を訪問し、習主席と初めて会談

タイ・セター首相の外遊で中国・習近平国家主席と会談

10月16日~19日、タイのセター首相は中国を訪問し、習近平国家主席と初会談しました。中国からタイへの投資拡大で合意したと報じられています。具体的には、中国側において中国の電気自動車企業4社がタイに投資するほか、さらに2社も交渉段階にあるようです。直近、一帯一路構想の停滞、中国経済の不振が際立っていますが、この会談をきっかけに中国は海外への投資を拡大させようとしているようです。セター首相は、同時に中国の車載電池大手であるEVEエナジーとファーウェイの幹部にそれぞれ面会しました。特にEVEエナジーは、タイでの工場建設に関心を示しており、年内にも実現する可能性が高そうです。

今回のトップ会談を機に、タイが以前のように「アジアの自動車強国」としての地位を取り戻すかもしれません。タイの自動車(EV)関連政策を見守ってきたいと思います。

タイとインドネシアの争いにも注目か?

ASEANのもう一つの自動車大国といえばインドネシアですが、ジョコ大統領は10月17日に開催された「一退一路」国際フォーラムに参加、同時に習近平国家主席や李強首相と会談しました。タイと同様に、中国からインドネシアへの投資強化などで合意したようです。インドネシアからは、コメの輸出、EVバッテリー製造のための部材提供などを行う予定と、比較的両国にとってメリットの多い契約だったといえます。ジョコ政権は2024年2月の大統領選挙で交替となるため政権末期ですが、比較的前向きな話し合いが行われたようです。

今後の、ASEANにおけるタイとインドネシアの主導権争いが注目されます。

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ライター

明松 真一郎

アイザワ証券 市場情報部

明松 真一郎

1990年平岡証券(現アイザワ証券)に入社。加古川支店でのリテール営業を務めた後、ディーリング部、営業本部、生駒支店でのバックアップ部門などを経験。2005年に証券アナリスト資格取得したことを機に、市場情報部(当時投資リサーチセンター)に異動。アセアン株を中心としたアジア株の調査、分析を行なっている。

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