Aizawa Market Report AI活用で再評価されるソフトウェア企業
2026.09.28 (月)
AI活用で再評価されるソフトウェア企業
今年1月末から2月にかけて、米新興AI企業であるアンソロピック社が発表した一連のAIツールによって、既存のソフトウェア企業のビジネスモデルが脅かされるとの懸念が高まった(アンソロピック・ショックもしくはSaaSの死)。米国の株式市場では、セールスフォース(CRM)やサービスナウ(NOW)、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)といったソフトウェア企業の株価は軒並み大幅に下落し、約半年間にわたり低迷が続いた(上図参照)。
しかしその後、各社の決算発表をきっかけに顧客基盤や契約の残存履行義務(RPO、顧客と契約済みで収益としてまだ認識していない金額)の拡大が確認されたほか、既存サービスとAIの融合も急速に進んだため、8月頃からソフトウェア企業の株価が大きく持ち直した。こうした企業の共通点として、①自社プラットフォーム上で顧客のデータを高度に統合していること、②ユーザー数連動型から成果連動型の課金モデルに軸足を移していること、③AIによる業務自動化を積極的に進めていることなどが挙げられ、新興AI企業が容易に代替できない独自の強みが再評価され始めている。
例えば、クラウド型顧客関係管理サービス大手のセールスフォース(CRM)は、巨大な顧客基盤と高度に統合されたデータベースを強みとしており、7月末時点の残存履行義務は前年同期比10.7%増の663億ドルに拡大した。同社は独自のAIエージェント「Agentforce」に注力するほか、8月にアンソロピック社とAI連携基盤「Claudeforce」を立ち上げるなど、実務に即したAI活用を顧客に訴求して収益の拡大を図る方針だ。
また、クラウド型業務プロセス管理サービス大手のサービスナウ(NOW)は、自社が提供する単一プラットフォーム上で顧客のデータを一元管理しており、日々の業務運営に深く関わっているため、安定利用のニーズが強く既存契約の更新率は98%と高い。同社の6月末時点の残存履行義務は前年同期比21%増の290億ドルと好調で、独自のAIプラットフォーム「ServiceNow AI」(支援やエージェント機能などを統合)の年間契約額は4~6月に10億ドルを突破するなどAI活用の進展が見られた。
データ統合・分析大手のパランティア・テクノロジーズ(PLTR)は、断片的なデータを現実の事象と紐付けて再定義する(オントロジー化)技術に強みを持ち、政府や民間企業向けに高度な分析サービスを提供している。同社の6月末時点の残存履行義務は前年同期比2倍の49億ドルと高成⾧が続いており、任意のAIモデルを顧客のデータ・業務システムと安全につなぐAIプラットフォーム(AIP)が高く評価されている。
足元、先端AIの進化が話題を集める中、顧客の貴重な資産たるデータや実務と深く結びついているこれらの企業は、独自のAI活用を武器に収益の拡大が期待される。
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