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かぶかはふしぎでうごいてる??? 第13回 投資用語解説一挙5本立て

2022.11.15 (火)

アイザワ証券 投資顧問部

吉田 大路

かぶかはふしぎでうごいてる??? 第13回 投資用語解説一挙5本立て

今回は第8回を最後に、休載していた「投資用語解説」を再開してみます。かつ、5本立てで行います。出来る限り「かふしぎ」風に独自性のある解説を行うことを目指しました。本当にそのように書けているでしょうか。ご確認いただければ幸いです。

1、期待について

マーケットの解説に「期待」という単語が現れることがあります。「期待収益率」や「期待利回り」などの言葉を見かけられた方も多いと思います。「期待」しているのだから将来のことを示します。今後生じるであろうと思われる収益率を指しています。

期待収益率を年率7%とした場合には、毎年7%上昇するようなイメージを持ってしまうこともありますが、これの意味している所は10年後に倍になるとしたら、それを年率に戻すと7%ぐらいになることを示しています。

期待収益率を求める方法は色々ありますが、大別すると①過去の収益率を参考にして算出する、②なんらかの前提をおいて、それに則した値を算出する。どちらにしても、「この程度の収益率が期待できると思います」との見解と言った所でしょうか。

しかし、投資戦略を立案するにあたっては、この期待される収益率の前提がないと議論になりません。今後は○○であり、これまで△△の経緯もあるから、□□程度のリスクとリターンを狙うには、このような投資戦略を立案しましょう。これは比較的正しい思考展開だと思われます。

7%の期待リターンなのだから7%の収益が上がらないとおかしいなんて言われても、「期待してるよチミィ~」的な話に近い、無茶振りだと考えるのが「期待」の意味する所です。

2、リスクについて

リターンを考える時には、同時にそのリスクも検討することが重要なのは言うまでもありません。

リスクとリターンの信憑性はどちらが高いでしょうか。リスクは変動率のことを指すので、債券のリスクより株式のリスクが高い前提をおくことは納得していただけると思います。

リターンを考えると、株式が軟調な時には債券の方が高リターンとなることが容易に生じます。どちらかと言えば、リスクの方がリターンよりは信憑性(安定性)があると考えられます。

「リスクを考えて投資しましょう」と言われるのは、リターンよりもリスクの方が信憑性が高いことも背景にあります。

3、インカムゲイン

資産を保有することによって得られる収益(株式なら配当、債券なら利息)のことをインカムゲインと言います。

一方、保有している資産を売却した金額と購入金額の差をキャピタルゲインと言います。1,000円で100株買った株式を1,200円で売却すれば(1,2001,000)×100株で2万円の利益がキャピタルゲインです。

キャピタルゲインは確実性が低く、良い銘柄を選択した場合や上手く売買タイミングを得られた時には収益が出ますが、逆の場合はキャピタルロスが発生します。一方、インカムゲインは比較的確実に収益が得られるものです。

銘柄Aと銘柄Bが存在し、どちらも20%の収益を得られました。銘柄Aの方は株価が上手く2割上昇したところで売却できました。銘柄Bの方は10%上昇したところで売却したのですが、配当収入で10%の収益を得たので合計で20%となりました。

バリュー投資のレジェンドと言われているジョン・ネフは「私なら銘柄Bを評価する。確実性が高いからだ」と言われました。納得できるところがありますね。

4、トータルリターンとプライスリターン

プライスリターンは上記で記載したキャピタルゲイン(ロス)に着目したリターンです。

株式であれば、(「現在の評価金額」÷「買付時の評価金額」-1}×100になります。投資信託であれば、(「現在の基準価格」÷「買付時の基準価格」-1100です。(※1)

トータルリターンは保有期間中に発生した収益を加算して計算したリターンです。

株式であれば、{(「現在の評価金額」+「保有期間中に得た配当」)÷「買付時の評価金額」-1}×100になります。投資信託であれば、{(「現在の基準価格」+「保有期間中に得た分配金」)÷「買付時の基準価格」-1}×100です。(※1)

気が付いた方もいらっしゃるかと思いますが、トータルリターンは「3」で説明したキャピタルゲインとインカムゲインを加えた収益率です。

ご自分の投資成果を確認する場合にはトータルリターンを使われるほうが正しい評価になります。

極端な例を考えます。投資信託X10,000円で購入し11,000円で売却(期間内には分配金支払い無し)した場合には、プライスリターンもトータルリターンも10%です。

投資信託Z10,000円で購入し、期中に5,000円の分配金が出て、6,000円で売却した場合には、プライスリターンは(6,000÷10,0001)×100=▼40%です。一方、トータルリターンは{6,0005,000)÷10,0001}×10010%です。

直感的にも、トータルリターンの方が正確なことが解ります。

ベンチマーク(※2)との比較をする場合には、ベンチマークもトータルリターンで計算された指数を使う方が正しい比較になります。

日経平均の場合は「日経平均トータルリターン」です(日経新聞のマーケットデータ欄に記載されています)。TOPIXの場合は「配当込みTOPIX」になります。悲しいことに配当込みTOPIXの値は「日本取引所グループ」のウェブサイトに掲載されていますが、月次ベースしかありません。投資家育成とか言いながら、インフラの提供は渋るとは・・・。何とかならないものかと思う次第です。

(※1)この計算式では厳密でないのですが、ここでは議論を難しくしないため、簡略的に上式で説明しています。投資信託の資料で「分配金再投資」と記してある場合は厳密な計算がされています。

(※2)ベンチマーク:「比較のために用いる指標」を示す言葉で、日本株の株式投資であれば東京株式市場の動きを示す指数である日経平均やTOPIXが代表的なものになります。例えば、保有している国内株式型投資信託の基準価額が10%上昇していても、同期間の日経平均が30%上昇していたらどう感じるでしょうか。逆に10%下落していても同期間の日経平均が30%下落していた場合はいかがでしょう。成績を評価するときに平均値との比較をすることは一般的です。ベンチマークは対象市場の平均値と考えれば理解が進むと思います。

5、ゼロサムゲーム

ゲームの参加者全体の損益を合計した場合にゼロになることを「ゼロサムゲーム」と呼びます。麻雀をやっている4名の損益は合計するとゼロになります。雀荘全体の中でも同じくゼロになります。確実に利益が上がるのは場所代を徴収する雀荘の親父さんだけです。この観点では麻雀を楽しんでいる方々はマイナスサムになっています。

株式や債券はインカム分(配当、利息)の利益があるので、ゼロサムにはなりません。プラスサムになります。

一般的な資産配分で内外株式と内外債券が中心となるのは、このことも背景にあります。更に、株式の場合には企業が成長することによって配当が増加する期待が付加されます。

執筆後記

ここまで読んでいただいてありがとうございます。「かふしぎ」風の独自色のある文章になっていたでしょうか。詳しい方には「本当にそんな説明でいいの?」と思われているかもしれません。そのような事を考えると不安になることもあります。文章を書いて衆知にさらされるということが、いかにストレスフルな事なのか実感しています。その意味では、文章やストーリーなどを生業とされている方はメンタルが凄く強いのだと思う次第です。

今回はバラバラのネタを取り上げたようにも見えますが、後半にかけて、統一しているのがインカムゲインの重要性について記載していることです。キャピタルゲインのように短期間で大きな収益が期待できないものですが、リスクが低く、長期間では収益に貢献してきます。

これに懲りずにまた読んでいただければ励みになります。おおよそ月に一度の発行スケジュールなので、次回もよろしくお願いします。

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ライター

吉田 大路

アイザワ証券 投資顧問部

吉田 大路

2015年アイザワ証券入社。現在は投資顧問部運用課に所属。当社入社以前は証券系投資信託、生保系投資顧問、信託銀行などで約30年間、資産運用業務を行ってきた。基本的にブログやSNSはやらないので、今回の業務に伴う書き込みが初めての体験。

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