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外国市場ガイド:フィリピン編

2021.12.24 (金)

アイザワ証券

アイザワ投資大学 編集チーム

外国市場ガイド:フィリピン編

ロックダウンにあえぐフィリピン

新型コロナパンデミックは、アジア屈指の高成長国へと変貌を遂げたフィリピン経済に急ブレーキをかけました。

特に2021年9月をピークとする第3波では、一時1日あたりの新規感染者数が2万8,000人近くに達するなど、コロナ対策に苦慮してきました。政府は感染拡大を防止すべく、2020年3月から移動・経済制限を実施し、緩急を繰り返しながらも現在まで1年8ヵ月間にわたって継続しています(2021年11月末時点)。フィリピンはGDPの7割弱を民間消費が占めるなど、内需依存度が高い国です。そのため、移動・経済制限が経済に与えた爪痕は大きく、2020年の実質GDP成長率は-9.6%と統計開始以来最悪の落ち込みとなりました。

ポストコロナへと向かう中で、フィリピン経済の高度成長を牽引してきたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)や、海外出稼ぎ労働者による送金の回復動向が注目されます。

なお、フィリピンでは米国を中心としたグローバル企業のバックオフィスの業務受託(BPO)が一大産業となってきました。その中でも、英語力を生かしたコールセンター業務が盛んで、その規模は世界最大規模となっています。今回のパンデミックをきっかけに、欧米諸国では業務の外部委託需要がこれまで以上に高まっており、中長期での業容拡大が期待されます。

また、GDPの8%を超える海外送金は、これまでフィリピン国内の個人消費を支える原動力となってきたため、景気回復に欠かせない要素の一つと言えるでしょう。

コールセンター事業が一大産業に

フィリピンは西太平洋に位置し、7,000 以上もの島で構成されています。首都マニラは海岸沿いの遊歩道や、何世紀もの歴史を刻む中華街ビノンドで有名です。フィリピンは長い時代をスペイン、日本、米国と様々な国の植民地支配を受けてきました。そのため、文化的にも各国の影響も大きく、アジアで唯一キリスト教の人口が多い国となっています。

また、言語も各国の統治により、変化していきましたが1974年の独立後、教育省令25号「フィリピン語と英語による二言語併用教育政策」により、英語がフィリピンの公用語の一つになり、多くの人が英語を喋り、街中でも英語表記が見られます。そのため、フィリピンでは人件費や土地のコストが抑えられるので、米国などの英語圏企業のコールセンターの拠点があります。

フィリピン株式市場について

現在のフィリピン証券取引所は1992年に、米国統治下の1927年に設立されたマニラ証券取引所と、1963年に設立されたマカティ証券取引所が経営統合し誕生しました。

近年は、フィリピンの好調な経済や、政治の安定、若年層を核とした1億人を超える豊富な人口などが評価され、証券市場に海外資金が流入してきました。これにより、市場時価総額は直近10年間で2倍以上に増加しました。現在、フィリピン証券取引所には273銘柄が上場しており、代表的な株価指数には、フィリピン証券取引所に上場する商工業、不動産、鉱業、石油セクターの主要30銘柄で構成されるフィリピン総合指数があります。

主要株価指数と為替相場の推移

代表的な上場銘柄

フィリピンの企業形態や産業構造には、少数株主による実質的な経営支配という構図が色濃く残されています。その中でも代表的な財閥が、時価総額第1位のSMインベストメンツと第4位のアヤラです。

SMインベストメンツは祖業の小売りを多角化し、近年は銀行、不動産、ホテル、鉱山なども手掛けてきました。創業者の故ヘンリー・シー氏は、フィリピン最大の資産家と知られ、「小売り王」の異名をもっていました。主な傘下企業には、商業不動産最大手のSMプライムやフィリピン最大手行のバンコ・デ・オロ・ユニバンクなどがあります。

また、アヤラはフィリピンで最も長い歴史をもつ財閥で、傘下のアヤラ・ランドを中核に、都市、住宅、ショッピングモール開発やオフィス事業などの幅広い不動産事業を展開しています。そのほか、金融、通信、水道、電力などの事業も手掛けており、主な傘下企業には、通信第2位のグローブ・テレコムや電力大手のACエナジーなどがあります。

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