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【経営者向け簡単解説シリーズ】 ストックオプションを簡単解説!

2020.05.25 (月)

アイザワ証券 ソリューション部

豊福 哲矢

【経営者向け簡単解説シリーズ】 ストックオプションを簡単解説!

はじめに

アイザワ証券では、従来の証券会社ではない特徴的な証券会社として「超リテール証券」を掲げています。これは、資産運用のサポートにとどまらず、相続手続きのサポートや法人のお客様・経営者様に向けたビジネスサポート等、多彩なソリューションをご提供することで、従来の証券業の枠を超えてお客様の課題解決をお手伝いするという意味で用いています。 今回は、法人のお客様・経営者様に向けて数多くの取り組みをしている中で、昨今、利用が増えている「ストックオプション」についてご紹介したいと思います。

ストックオプションとは?

新聞やニュースではたまに聞く言葉ではありますが、そもそも「ストックオプション」と聞いてもいまいちピンとこないという人も多いかと思いますので、はじめにストックオプションについてできるだけわかりやすく解説していきたいと思います。

ストックオプションについて調べると、このような解説が一般的ではないかと思います。
ストックオプションとは、企業の社員に対して、報酬の一部としてあたえる株式を購入する権利
ちなみに、Wikipediaではこのような解説がされています。
一定期間内に、あらかじめ決められた価格で、会社から自社株式を購入できる権利

どちらもストックオプションの解説をする際によく使われる表現ですが、この言葉だけでストックオプションを理解するのは少し難しいので、例をあげて解説したいと思います。

例えば、Aさんに「3年の間であれば自社の株式を1株100円で10,000株購入できる」という内容のストックオプション(権利)が付与されたとします。仮に自社の株価が現在500円だったらどうでしょうか。Aさんは500円の価値がある株を100円で購入することができ、購入後、すぐ売却すればその差はAさんの利益になります。しかもストックオプションは権利なので、権利を行使するかしないかはストックオプションを付与されたAさんに委ねられています。さらに株価が上昇することを期待するならば、権利のまま保有し続けてもよいでしょうし、仮に株価が100円より低い価格になっていたとしたら、ストックオプションを行使する必要はありません。ちなみに、行使期限を迎えたからといって、必ずしも行使をしなければいけないというわけではなく、あくまでも行使するかしないかはAさんの判断によります。

このようにストックオプションが報酬の一部とされているのは、ストックオプションを権利行使し、株式を売却して利益を確定することができるためです。しかも、ストックオプションは権利なので、権利を行使するかしないかは、ストックオプションを付与された人に委ねられています。仮に、経済情勢の悪化等により自社の株価が下落した場合には、行使をせずにいれば損失を被ることもありませんので、非常に使い勝手がよいと言えそうです。

ストックオプションは何故導入されるの?

大企業のみならず、スタートアップの企業にも活用の幅が大きく広がっているストックオプションですが、何故ここまで注目されているのかというと、前述のように給料とは違った報酬形態の一つとして活用されているためです。

ストックオプションを使えば、現金を常に用意できない企業でも高度な専門人材を採用したり、人材の定着率向上に活かすことができます。中でも、創業間もない赤字会社が高い給料を払って正社員を採用するのは難しいことから、スタートアップ企業では一般的に活用されています。日本経済新聞社の調査では、2019年NEXTユニコーン(将来的に「ユニコーンとなる可能性がある未上場スタートアップ)のうち、およそ9割の企業がストックオプションを導入していることが分かっており、広く活用されていることがうかがえます。また、ストックオプションを行使することにより、報酬として自社の株式を交付することになりますから、付与された社員は、自分が仕事を一生懸命に取り組むことが給与とは別のインセンティブになるため、モチベーションアップにも影響を与える可能性が高いと言えそうです。

• ストックオプション導入のメリットまとめ
優秀な人材の確保・流出防止
社員のモチベーションアップ(経営への参画意識の向上と成果報酬)

一方、ストックオプションは持っている人と持っていない人が社内に混在している場合には、社内で不協和音が発生したり、権利行使後に社員が離れてしまったりする等のデメリットも考えられます。また、ストックオプションの導入と合わせて必ず検討しなければならないのが、株式をキャッシュ化するための出口戦略についてです。上場企業であれば、非上場企業と比べて流動性も高いため、市場での売却も可能となりますが、非上場企業の場合は、将来的なIPO(新規上場)やM&A(合併と買収)等による出口戦略についても検討が必要です。出口戦略のないままストックオプションを導入するのは、かえって株式事務等を煩雑にしかねませんので、注意が必要でしょう。

さいごに

ストックオプションは、会社の業績向上に寄与する可能性があり、経営にとって非常に重要な要素と言えます。ただし、導入にあたってはメリット・デメリットを勘案し、ストックオプション制度を充分に理解した上で検討したほうがよいでしょう。

さて、今回はストックオプションについての概要を簡単にご紹介しました。次回は、「ストックオプションで一般的な税制適格ストックオプション」や「当社で行っている税制適格ストックオプションのサービス」等についてご紹介したいと思います。

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ライター

豊福 哲矢

アイザワ証券 ソリューション部

豊福 哲矢

2015年に日本アジア証券株式会社(現アイザワ証券株式会社)に入社後、営業経験を経て、公開引受部門に異動。上場準備支援業務等に従事し、アイザワ証券株式会社との合併後は、IPO、M&A、ストックオプション等といった企業の事業戦略サポートに取り組む。

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