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【米国株インサイト】サマーストック:夏場に業績改善、注目度もアップ

2025.07.17 (木)

中国株情報部

島野 敬之

【米国株インサイト】サマーストック:夏場に業績改善、注目度もアップ

サマーストックとは夏場に業績が伸びたり、注目度が高まったりする銘柄群です。一般的にはビールや清涼飲料水、エアコン、旅行・レジャーなどを主要事業とする銘柄を指します。今回は本格的な夏の到来を前に米国株のサマーストックをピックアップしてみました。

ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス、ホテルグループの世界大手

ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(HLT)は世界最大級のホテルグループです。2024年末時点で140カ国・地域に8447軒のホテル(126万8206室)を展開しています。

創業者はコンラッド・ヒルトン氏で、1919年にホテル事業を始めています。創業者のファミリーネームを企業名やブランド名として利用する例は枚挙にいとまがありませんが、同氏の場合、「コンラッド」というファーストネームもあますところなくホテル名に利用されています。ちなみに「元祖お騒がせセレブ」はコンラッド・ヒルトン氏のひ孫に当たるそうです。

ビジネスモデルはほかの大手ホテルチェーンと同様、ホテルのオーナー(ホテル不動産のオーナーを含む)にフランチャイズ権やライセンスを付与し、手数料を受け取るという仕組みが軸になっています。

最も一般的なのがフランチャイズ型で、8447軒のホテルのうち7566軒がこのタイプです。ヒルトン側はフランチャイズ契約に基づき、ブランド名、商標、サービスマーク、運営システムなどの知的財産権をホテルのオーナーに供与する対価としてロイヤルティーを受け取りますが、ホテルの運営には関与しません。オーナー側が従業員を雇い、日々のホテル業務をこなしていく必要があります。

ただ、ヒルトン側は定期的に監査を行い、ブランドの基準が保たれているかを確認し、ブランドのクオリティーを下げないように努めています。
次に多いのがマネジメント型で、8447軒の約1割に当たる831軒を占めています。ホテルのオーナーから運営業務を請け負う形で、ヒルトン側が従業員を雇用するケースもありますが、費用はすべてオーナー持ちです。

ヒルトン側がホテル不動産を保有・賃借するオーナーシップ型は50軒にとどまり、軒数ベースでいえばわずか0.6%にすぎません。ただ、宿泊料や飲食の代金などがそのまま収入となるため、売上高全体に占める割合は11%に達しています(2024年12月期)。

カーニバル、世界最大級のクルーズ船運航会社

カーニバル(CCL)は世界最大級のクルーズ船の運航会社です。同社の資料によると、世界のクルーズ業界における2024年の乗客収容能力は73万3010人に上り、このうちカーニバルの収容能力(2024年11月期末時点)は26万9970人で全体の約37%を占めています。
業界ではクルーズの大衆化に伴う船舶の大型化が進行中ですが、世界最大の称号にこだわり続けているのはどちらかというとライバルのロイヤル・カリビアン・クルーズ(RCL)です。

2022年に就航した「ワンダー・オブ・ザ・シーズ」は総トン数が約23万トンで世界最大となりましたが、2024年1月には25万8000トンの「アイコン・オブ・ザ・シーズ」が就航し、自社の船舶で世界最大を塗り替えています。大型マンションと遊園地をそのまま船に乗せたという形容がぴったりします。
もちろんカーニバルも格安クルーズでファミリー層や若者層を取り込むにはクルーズ船の大型化は避けて通れませんが、「世界最大」を売りにするロイヤル・カリビアン・クルーズと同じ土俵に上がるつもりはなさそうです。

実際、カーニバルは2027年に新型クルーズ船の「カーニバル・フェスティバル」を投入する予定で、船名こそお祭り一色ですが、総トン数は18万トンです。もちろん超大型船で、カーニバルが運航する船舶の中では最大級となるものの、ロイヤル・カリビアン・クルーズの世界最大のクルーズ船には及びません。

カーニバルの事業形態をみると、セグメントは二つに分かれており、北米&オーストラリア部門は「カーニバル・クルーズ・ライン」「プリンセス・クルーズ」「ホーランド・アメリカ・ライン」「P&Oクルーズ(オーストラリア)」「シーボーン」などのブランドを持ちます。欧州部門は「コスタ・クルーズ」「AIDAクルーズ」「P&Oクルーズ(UK)」のブランドで構成しています。

2024年11月末時点のクルーズ船の数は94隻で、内訳は北米&オーストラリア部門が63隻、欧州部門が31隻です。欧州事業にも強みを持つのがカーニバルの特徴で、2024年11月期の欧州事業の売上高は前年比18%増の77億1000万ドルに伸び、売上高全体に占める割合は約31%です。ちなみにロイヤル・カリビアン・クルーズの欧州事業比率は約16%にとどまっています。

サウスウエスト・エアラインズ、テキサス州本拠の格安航空会社

サウスウエスト・エアラインズ(LUV)はテキサス州ダラスに本社を置く格安航空会社(LLC)です。1971年6月、3機の「ボーイング737」でビジネスを始め、テキサス州内の3都市に就航してから50年余り。2024年末時点で運航する「ボーイング737」は803機に増えています。就航する都市の数も117に拡大しており、米国内では42州とワシントンDC、海外ではメキシコ、ジャマイカ、バハマ、キューバなど中南米を中心に運航しています。

顧客満足度が高いLLCとして知られており、運航上ではピンポイントで都市を結ぶのが特徴です。一般的に航空会社はハブ空港を設けるケースが多く、こうした仕組みでは乗客はいったんハブ空港で乗り換えて目的地に向かうことを強いられます。サウスウエスト・エアラインズはピンポイントで都市を結ぶため乗り換え不要の直行便が多く、時間の節約という顧客サービスを実現します。

サウスウエスト・エアラインズはLCCの優良モデルとして語られることが多いようですが、さらにサービスを改善する方針です。その一つが指定席制度の導入です。これまで優先搭乗はありましたが、指定席制度は導入していませんでした。2025年下期に販売を始め、2026年上期には新たな指定席制度を取り入れる予定です。
さらに座席でも通常よりも足元の広いエクストラ・レッグルーム席を導入する予定です。顧客の要望に応じたサービス改善の一環で、収益の拡大も目指します。

記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」(https://imakara.traders.co.jp/

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ライター

島野 敬之

中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

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