アジア株週間トピックス 2023年5月22日号
2023.05.23 (火)
タイの下院総選挙の投開票が完了
タイの下院総選挙が無事に終了、今後の連立のゆくえに注目か?
今年5月14日にタイの下院総選挙(定数:500)の投開票があり、野党2党が大幅に議席を増やしました。ただ、どの政党も過半数議席を得られなかったため、政権の連立に向けた交渉が進められつつあります。問題は、第1党の前進党と第2党のタイ貢献党が王室への対応などの部分において意見が異なっていることです。これら2党を含めた全6党で連立交渉が進められていますが、交渉は一筋縄ではいかない可能性があります。
直近は海外からの観光客が増加するなど、コロナ前の状況に戻りつつありますが、不安定な政局が景気回復の重石になる可能性があり、当面の連立交渉の行方が注目されます。
タイの2023年1~3月期GDP成⾧率は+2.7%
タイの2023年1~3月期GDPは高水準に
5月15日、タイの2023年1~3月期GDP成⾧率が発表されました。前年同期比2.7%増と、「前期:前年同期比1.4%増」「市場予想:前年同期比2.3%増」をともに上回っています。
昨年8月にはCPI(消費者物価指数)が前年同月比7.86%と、数年来の高インフレとなっていましたが、直近5月3日に発表されている2023年4月のCPIが前年同月比2.67%になるなど物価の落ち着きが顕著になっています。中銀は物価目標の上限を3%と定めており、今のタイの物価は適正水準まで戻ってきたといえます。
消費の回復もGDPの牽引役に
インフレの落ち着きに加えて、このたびのGDPの項目別で目立ったのが民間消費です。民間消費の分野は前年同期比5.4%増と景気の牽引役になりました。物価の安定と好調な消費がこのたびのタイの高水準のGDPにつながっているといえます。
なお、消費増の一因となっているのがインバウンド需要で、外国人観光客の増加はタイ経済、観光関連産業にとって追い風となっています。これまで順調に回復してきたタイ経済、観光関連産業がさらなる回復を目指すうえで、政局の安定が重要になってくるとみています。
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