
なぜなにワード解説 関税って?
2025.05.08 (木)




関税って?
2025年4月、アメリカのトランプ大統領が各国に対し大幅な関税引き上げを発表し、世界中が大混乱に陥りました。その後中国が報復関税を発表したことで、コロナ禍以降最大級の株価下落を記録しました。今回は株価下落の元凶となった関税についてご説明致します。
そもそも関税というのは、「輸入品に課される税金」のことです。関税は製品の種類や原産国によって異なる税率が設定されており、主には①輸入品の価格に対して一定割合を課すものを「従価税」、②輸入品の重量や数量に基づいて課すものを「従量税」、③従価税と従量税を組み合わせた「混合税」の3つがあります。

簡単な例を見てみましょう。
輸入業者が500万円のある商品を仕入れてきて、それを卸売業者に販売するケースを考えます。価格に対して10%の関税がかかるとすると、輸入業者が国に対して支払う関税は500万円×10%で50万円になります。各業者の付加価値(土地代、人件費などの費用や利益を含んだ金額)を50万円とすると、最終的に消費者が購入する価格は700万円になります。このように関税がかかった分だけ価格転嫁が発生し、消費者が負担するようになっているのが一般的です。

輸入品に関税がかかることによって、結果として販売価格が上がってしまい、インフレにつながる場合があります。
今回、アメリカが引き上げた件もそうですが、他国からの報復関税を引き起こすリスクもあり、貿易摩擦が激化することもあります。その反面、自国で生産されたものが相対的に安価となり、国産品の需要増加が見込めると同時に国の税収増加にもつながるので、トランプ大統領はこれらを目的に高い関税を設定したと考えられます。
日本時間の4月3日朝に関税計画が発表されましたが、米国へのすべての輸入品に少なくとも10%の基本関税がかけられることとなりました。またこの税率は国によって異なり、日本は24%、1番高い国の中国は125%が設定されました。先ほどの500万円の例で考えると、日本からの輸入品は120万円、中国は625万円の関税がかかることになり、これをアメリカの企業や消費者は負担する必要があります。
ただしこの発表後、アメリカが関税発動を90日遅らせたり、各国と協議して税率の引き下げを検討したりしているところなので、引き続きトランプ大統領の動向が注目されます。
参考:税関ホームページhttps://www.customs.go.jp
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