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クロード・ミュトスの何が「危険」なのか

2026.06.03 (水)

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

「いまから投資」

クロード・ミュトスの何が「危険」なのか

クロード・ミュトスという言葉を聞くようになりました。ChatGPT(OpenAI)やGemini(Google)と同様にAIモデルの一種という認識ながら、ほかのAIとは取り上げ方が異なる印象を持ちます。ミュトスの何が問題なのでしょうか。そして個人投資家としては、同社の急成長をどのように捉えていくべきなのでしょうか。

既存システムへの脅威

この数年間でAIへの受け止め方も変わってきました。自分たちの生活を脅かす得体の知れないものという認識から、日々の生活を良くしてくれる存在への移行です。SNSではChatGPTのことを「チャッピー」と呼ぶ人たちも増えてきました。AIは日常生活を補てんするものとする、きわめてポジティブな印象です。

その一方で最近耳にする機会の多いミュトスは、日本の財務大臣が「まさに今そこにある危機」と言及するなど「歓迎されていないAI」という印象があります。なぜそこまで警戒感を持たれているのか。それはミュトスが、現実世界のセキュリティを破壊する能力を有するためです。

クロード・ミュトスとは

クロード・ミュトスはアメリカのAI会社であるアンソロピック社が開発した最新のAIです。一般公開はされず、自社のプログラムの弱点を補うためにAppleやMicrosoftなど大手IT企業が使用しています。同社が既に開発していた高性能のAI「Opus」では数百回試して2回しか成功しなかったサイバー攻撃用の手段の開発に、ミュトスは181回成功したといわれています。またミュトスを操作する人間に、専門知識が不要ということも大きな特徴です。

最悪のシナリオはミュトスの「類似商品」

アンソロピックの最高経営責任者(CEO)を務めるダリオ・アモデイ氏は「国民の大規模監視や完全自立型兵器への悪用可能性がある」として、一般公開の解禁を拒み続けています。同社はもともとアメリカ軍の機密システムで使える唯一のAIで、2026年1月の南米ベネズエラ大統領拘束作戦の際にも利用されました。ベネズエラ側から聞こえた「なぜ要人がそこにいるとわかるのか」。機密情報が筒抜けだったということでしょうか。
その後、軍事利用を制限する同社はアメリカ政府と対立、最終的にトランプ大統領は、すべての連邦政府機関に同社AIの使用禁止を命じます。その後両者には歩み寄りがあったとみられ、国防総省もミュトスの導入を進めると報じられています。

2026年5月には米中首脳会談が行われました。両国間で「AIに対する対話を始める」と表明されています。国にとって最悪のシナリオはミュトスの「類似商品」が生まれ、悪用されることです。国や自治体の秘匿情報や金融機関のシステムにサイバー攻撃が仕掛けられる危険性です。アンソロピックのアモデイCEOはイベントで、「中国がミュトスと匹敵する性能のAIを出すまで半年から1年」との認識を示しました。

AIを受け入れるのに、そのAIを敵と考えるか、それとも味方と考えるかという問題があります。ミュトスこそ、敵にしてしまっては過去類を見ないほどのサイバーリスクになると考えられています。アンソロピック社自体は「暴発」しなくても、それを類似した会社により世の中が高いリスクに曝される可能性があるでしょう。

アンソロピック上場の公算

投資家としても注目です。アンソロピックは2026年10月頃に新規上場(IPO)の可能性が高まっています。2026年4月には年換算の売上高が300億ドル(約4兆8,000億円)に達し、初の営業黒字に転換する見通しが伝えられています。日本においてアメリカの上場株をブックビルディング(抽選)にて購入することはできませんが、上場後は投資が可能となります。

現時点でも、同社を構成銘柄に含める一部のETFや上場投資信託を通じて、同社の成長を恩恵として取り込む手法もあります。実際に証券会社では、「スペースX・アンソロピック・OpenAI」を所有していると見られるETF(KraneShares AI&テクノロジーETF)が販売されています。

出所:TradingView

アンソロピックはセキュリティの世界では注目されているものの、個人投資家全体のなかではまだ知名度の低い会社であり、今のうちに注目しておきたい企業です。そして、数あるリーディング会社が波を起こしてきたように、アンソロピックが旗手となり、サイバーセキュリティの世界に隆盛をもたらす可能性もあります。アンソロピックの競合ということで注目される企業なども幅広く押さえておきましょう。

アンソロピックをめぐる報道を見ていると、ついにAIはアンコントローラブル、人間が操作できないレベルに達したという印象を持ちます。昔、AIが悪役になるターミネータという映画がありました。ロボット型のAIとはイメージが異なりますが、ChatGPTは便利だ!だけではなく、強い危機感を持たなくてはならない時期に来ているのかもしれません。

記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」※外部サイトへ移動します
※本記事は提供先より原文のまま掲載しています

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