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はじめてでもわかる ベトナム株「超」入門 新型コロナ、ベトナムの状況

2020.03.26 (木)

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市場情報部

はじめてでもわかる ベトナム株「超」入門 新型コロナ、ベトナムの状況

注目イベントは相次いで延期に

2020年3月に入り、東南アジアで新型コロナウイルスの感染が急拡大しています。米ジョンズホプキンス大学の集計によると、ベトナムの累計感染者数は148人で、これまで死者は出ていません(3月26日時点)。また、感染の疑いがある約1,600人が経過観察となっています。

感染拡大を防ぐために、ベトナム政府は3月22日からすべての外国人の入国を見合わせています。一方で、海外から帰国するベトナム人に対しては、国が指定する施設で14日間の隔離されることとなっています。このように隔離対象となっている人が約4万7,000人おり、仮に隔離措置を逃れて被害をもたらした場合は刑事処分が科されることになっています。

現時点でベトナムでは、マレーシアやフィリピンなどのような国境や都市の封鎖を行っていませんが、娯楽施設や飲食店をはじめ多くの商業サービスは営業が停止されています。さらに、ベトナムは今年ASEANの議長国となっており、4月にダナンで首脳会議が開催される予定でしたが、6月末へ延期されました。また、注目イベントのひとつで、4月3~5日に開催予定であったF1ベトナムグランプリも、時期未定で延期されました。

感染者が少ないにもかかわらず株価は急落

ベトナムは、すでに1,800人近くの累計感染者を出しているマレーシアや、致死率が世界全体を上回るインドネシアやフィリピンなどと比較して、新型コロナウイルスの封じ込めにうまくいっていると言えるかもしれません。しかし、株式市場を見ると、3月24日のベトナムVN指数の終値は695ポイントと、2017年1月の水準まで下落しています。VN指数の3月の月間下落率は25%に達し、東南アジアの主要株価指数の中ではフィリピン総合指数、インドネシアのジャカルタ総合指数に次ぐ下落となっています。

このように、足元のベトナムの感染状況に反して株価が大きく調整している理由のひとつは、海外投資家による資金の巻き返しです。ブルームバーグデータによると、海外投資家はホーチミン市場で31日間連続の売り越しとなっています。3月の海外投資家による1日当たり平均売り越し額は約18億円と、ホーチミン市場の1日当たり売買代金の1割以上占めています。海外資金の流出を招いている背景には、工場移転などでベトナム投資を牽引してきた日中韓での感染拡大や、特に海外投資家の中核を成す欧米投資家の間で、自国・地域での爆発的な感染拡大により投資マインドが低下していることなどが挙げられます。

そのような中、ベトナム当局は株価下支えのため、8月31日まで株式市場の各種手数料を減免することを発表しました。さらに上場企業においては、自社株買い予告も相次いでいます。

一方、通貨ドンの3月の月間下落率は1.5%と、東南アジア主要国の中でも小幅にとどまります。これはドンがドルペッグ制に近い運用がなされているからでもありますが、中央銀行は引き続き、ドン相場の安定化に向け為替介入を強化する考えを示しています。

景気刺激策を策定も株価はしばらく激しい値動きに

景気下支えのため、ベトナム政府は1兆2,000億円規模の金融・財政刺激策を策定しており、月内に詳細がまとめられる予定です。さらに、中央銀行は3月17日に利下げを実施し、主要政策金利のひとつであるリファイナンスレートを6.0%から5.0%に引き下げました。

新型コロナウイルス感染症の震源地となった中国では、武漢市を封鎖して約2ヵ月から2ヵ月半で事態が大きく改善しました。このような状況を鑑みると、世界的な鎮静化まではもうしばらく時間がかかりそうです。世界的な感染者数増加のピークアウトが見えてくるまでは、ベトナム株式市場も値動きの激しい動きが予想されます。

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