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19年ぶりの壁を突破 商船三井が上場来高値を更新

2026.03.31 (火)

日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

19年ぶりの壁を突破 商船三井が上場来高値を更新

19年ぶりの壁を突破 商船三井が上場来高値を更新

2026年3月18日の東京市場で、商船三井<9104.T>の株価が一時7060円を付け、歴史的な節目を刻みました。これは、2007年10月に記録したこれまでの上場来高値6800円を約19年ぶりに塗り替える、極めて象徴的な出来事です。
高値更新の直接的な引き金となったのは、世界的なアクティビスト(物言う株主)であるエリオット・インベストメント・マネジメントによる同社株の保有が明らかになったことです。同日ロイター通信が報じ、その後にエリオット側からも正式な保有声明が公表されました。
エリオットは、東証が進める「PBR1倍割れ是正」の動きを背景に、同社に対して株主還元の強化や資本効率の劇的な改善を求めていく構えを見せています。海運各社がコロナ禍で積み上げた莫大な現預金の使い道に対し、強力な「外圧」が加わるとの期待から、投資家の買いが殺到。株価は前日比12%超の上昇を見せる場面もありました。翌19日も買いは続き、高値7325円まで上値を伸ばしています。

商船三井日足チャート

前回高値を付けた2007年がどのような年だったのかを振り返ってみると、現在とはまったく異なる景色が見えてきます。当時は、中国経済の爆発的な成長に伴う「爆食」が世界を席巻し、鉄鉱石や石炭を運ぶドライ市況が歴史的な大暴騰を演じた年でした。
供給が追いつかないほどの需要増に加え、豪州での滞船や原油高も重なり、バルチック海運指数は空前の高値を更新。いわば「実体経済の勢い」が株価を押し上げた「海運バブル」の絶頂期となりました。しかし、その後のリーマンショックによってバブルは崩壊。海運業界はその後、十数年にわたる長い停滞と苦難の時代を迎えることになったのは周知の通りです。

改めて振り返ると、2020年からのコロナ禍におけるコンテナ運賃の記録的高騰時ですら、同社の株価は2007年の高値を抜けなかったわけです。当時は「一過性の利益」と冷ややかに見る向きもありましたが、この数年で業界の構造は劇的に変わりました。
その象徴が、日本郵船、川崎汽船との3社統合で誕生した「Ocean Network Express(ONE)」の成功です。かつての過当競争を脱し、コンテナ船事業を切り離して効率化したことで、収益の安定性が格段に向上しました。今ではバルチック海運指数(BDI)よりも、上海発コンテナ運賃指数(SCFI)などの「コンテナ価格」が収益の動向を示す指標として注目されるようになっています。
足もと海運株は、中東情勢の緊迫化やホルムズ海峡の混乱が追い風となっている面もあります。航路の安全確保のために喜望峰回りへの迂回を余儀なくされることで、輸送距離と日数を掛け合わせた「トン・マイル」が増大し、運賃が上昇するとの期待につながっています。一方で戦争の長期化によるグローバル経済への影響という負の要因がより強く意識される場面では、海運株も売りに押される場面があり、19日の高値更新後は、ふたたび商船三井も6000円台に押し戻される場面もみられます。
ですが、今回の高値更新は、単なる市況のサイクルによるものではありません。「PBR1倍割れ是正」という日本市場全体のテーマと、「アクティビストによる働きかけ」など複数の要素が重なったことが歴史を塗り替える原動力となりました。

「進化した商船三井」が、ここからどのような航路を描くのか。19年ぶりの壁を越えた今こそ、新しいステージを見せてほしいですね。

記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」(https://imakara.traders.co.jp/

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ライター

斎藤 裕昭

日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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