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コリアインサイト 韓国のEVは新たなステージへ

2022.08.08 (月)

有進投資証券

成 承桓

コリアインサイト 韓国のEVは新たなステージへ

韓国のEVは新たなステージへ

以前の記事、「2022年は韓国自動車産業でEVが本格化」では、現代・起亜自動車グループの電気自動車(EV)を取り上げて紹介しました。執筆当時はEVが主流になることにどこか懐疑的な気持ちもありましたが、足元はEV時代の到来が現実味を帯びてきているように感じます。

現代自動車はEVの「IONIQ(アイオニック)5」で日本市場への再参入を果たしたほか、販売台数や営業利益率の改善も進んでいます。筆者の知人の間でもEVに乗っている人が増えており、もはやEVは珍しくありません。自動車の主要市場の一つである米国が、EVへ転換しようとしていることも追い風となっています。今後、現代・起亜自動車グループは、新たなEVの販売に伴い市場シェアの拡大が見込まれ、同社への見直しが進むと予想されます。

今回は、混迷する世界情勢の中でも着実に成長している韓国自動車と、韓国のEV市場について見ていきましょう。

現代・起亜自動車のEV戦略

現代自動車は、EVの販売台数を2021年の14万台(全販売台数の4%)から2026年に84万台(同17%)、2030年に187万台(同36%)まで引き上げる計画です。さらに2030年のEVの営業利益率は10%超を目標に掲げています。今後「ジェネシス」をEV化するほか、SUV及び中大型EVのラインナップの拡大や現地生産の拡大を通じて地域特化していく方針です。

一方、起亜自動車は、主要地域でのEV販売台数を2022年の15万台(全販売台数の7%)から2026年に75万台(同32%)、2030年に110万台(同45%)まで引き上げる計画です。全販売台数に占める割合で見れば、現代自動車よりも積極的なことがわかります。また、2026年のEVの営業利益率目標は8%となっています。

現代・起亜自動車、米国でEV2位に

現代・起亜自動車グループの2022年第1四半期の米国EV販売台数は2位でした。1位のテスラの11.3万台とは大きな開きがあるものの、3位のフォードのおよそ2倍にあたる1.5万台でした。現代自動車の「アイオニック5」と起亜自動車の「EV6」は、「カー・オブ・ザ・イヤー」に連続で選出されるなど競争力が認められています。さらに、同グループは2030年までに発売モデルのすべてをEVに切り替える方針を示しています。これはグローバールメーカーの中で最も早い計画です。

現代・起亜自動車、米国で新工場建設へ

現代・起亜自動車グループは、2009年から稼働する米ジョージア州の工場に次いで、13年ぶりに第3工場の建設を発表しました。 この工場はグループ初のEV専用工場となるほか、「ジェネシス」初の海外工場でもあります。同グループは2000年代半ばに米国新工場の建設を通して市場シェアを伸ばし、グローバルメーカーへと飛躍しました。今回の新工場建設により、米国EV市場でのシェアを一層伸ばし、新たな成長サイクルに入ること期待されます。

不透明な外部環境は競争力でカバー

2022年第1四半期の現代自動車の販売単価は、前年同期比19%増の2,860万ウォンとなりました。部品不足による生産の遅れがあったにもかかわらず、第2四半期の営業利益は2兆9800億ウォンと、過去最高益を更新しました。ウォンが1%切り下がると営業利益が300~500億ウォン増える効果があるなど(四半期ベース)、ウォン安の進行が価格競争力の強化につながっています。

EV専門会社は下振れ

EV専業メーカーの株価が大幅な調整局面を迎えている反面、伝統的な完成車メーカーの株価は好調に推移しています。背景には、資本力や製造技術、完成度などの点で評価されているようです。本格的なEV時代が到来する中、勝ち組はどちらになるのか数年で明らかになってくるかもしれません。

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ライター

成 承桓

有進投資証券

成 承桓

全南大学卒業後 、 未来アセット証券 、 教保証券 、 SK 証券を経て 、 2008 年に有進投資証券入社 。 国際営業チーム 、海外事業 チーム 、 海外投資チームを 経て 、 2021 年よりマルチ金融チームで日本の不動産及び金融商品を 担当している 。趣味はランニングと映画鑑賞 。

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